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無名から主役へV.ドゥブイソン フランス版“セベ”誕生!

2014/02/24 10:39
無名から主役へV.ドゥブイソン フランス版“セベ”誕生!

 

 一夜にして無名の選手がカリスマ、セベ・バレステロス(スペイン)と並び称される存在となった。

 世界ゴルフ選手権(WGC)シリーズの初戦 WGC-アクセンチュア・マッチプレー選手権(アリゾナ州ザ・ゴルフクラブ at ダブマウンテン)は現地時間23日、準決勝と決勝&3位決定戦を行い、ジェイソン・デイ(豪)の優勝で幕を閉じた。

 しかし、デイ以上の存在感を見せつけたのが、決勝で敗れた23歳のビクトル・ドゥブイソン(仏)だ。準決勝で憧れのアーニー・エルス(南ア)に競り勝ち迎えた決勝戦。本戦では劣勢に次ぐ劣勢だったが、粘りに粘って18ホール目で引き分けに持ち込み、勝負はエクストラホールへ突入する。

 そしてギャラリーの度肝を抜いたのが19ホール目と20ホール目、砂漠地帯からの驚異のアプローチショットだった。1番パー4で行われた19ホール目では、ドゥブイソンのセカンドショットがグリーンを大きくオーバーし、サボテンが牙を剥くハザードにつかまった。ところが、そこから1.5メートルに寄せるスーバーアプローチでパーをセーブすると、続く20ホール目で再び雑草とサボテンが茂るハザードにつかまり、あわやアンプレアブルの状況からまたも1.5メートルに寄せて連続パー。

 これには相手のデイが思わず苦笑いするほど。テレビ解説を務めたニック・ファルド(英)はかつてのライバルで、幾多のピンチを奇想天外なショットでチャンスに変えたカリスマ、セベの名を出し“フランス版セベ”と形容した。結局23ホール目で1オンを狙ったショットが大きくグリーンの右に外れ、アプローチをオーバーさせてバーディならず。きっちりバーディを奪ったデイに栄冠を譲ったが、その存在感たるやデイを上回った。

 実は前夜、ドゥブイソンの眠りは浅かった。それまでは「相手が誰でも自分のゴルフをすれば良い」と思っていたが、子供の頃から憧れたエルスが準決勝の相手だと知って胸が高鳴った。眠れぬ一夜を過ごし目覚めた朝「本当に自分はエルスと戦うのか?」と思うと身震いする思いだった。

「彼は僕のヒーロー。メジャーで勝つ姿をずっと見て育ったから、余程良いゴルフをしないと勝てないことはわかっていた。幸い、最高のゴルフが出来た」とドゥブイソン。前半はエルスのオーラに押されて3ダウンの劣勢に立たされたが、中盤以降盛り返しオールスクエアで最終18番を迎える。バンカーからパーセーブに失敗したエルスに対し、グリーン奥のカラーからのファーストパットをきっちり寄せたドゥブイソンが憧れの人に1アップで競り勝ち決勝戦へ。

 欧州ツアー通算1勝の無名の男が世界のゴルフシーンに強烈なパンチをお見舞いした。

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