遼が6位タイ急浮上! 逆転戴冠へ47年前の“伝説V”挑む
国内男子ツアーの今季最終戦ゴルフ日本シリーズJTカップは3日、東京よみうりカントリークラブを舞台に第2ラウンドの競技を行い、賞金ランク2位で逆転賞金王を狙う石川遼が9バーディ、1ボギーの8アンダー62をマーク。1998年からパー70に変更された東京よみうりCCのコースレコードにあと1打と迫るビッグスコアをたたき出し、首位の池田勇太に6ストローク差の通算2アンダー6位タイへ急浮上した。
前日の第1ラウンドで「ほとんどのスイングがインパクト付近で詰まり気味。その原因に最後まで気づけなかった」と、6オーバー76を叩き最下位に低迷した姿は全くなかった。数週間前から取り組むスイング改造、タイガー・ウッズ流の左寄りにボールを置くアドレス、その影響で知らず知らずのうちにクローズになっていたスタンスをこの日はきっちり修正した。序盤からショットとパットが噛み合い前半をボギーなしの4バーディで折り返すと、後半さらにショットが冴えて16番までに計8バーディを奪う。圧巻は東京よみうりCC名物ホールの最終18番パー3。ティーショットでグリーンを外したものの、右のラフから2打目を直接カップインさせるチップインバーディ。大ギャラリーを熱狂させる会心のガッツポーズも飛び出し、ド派手なフィニッシュで第2ラウンドを締めくくった。
ゴルフ日本シリーズの歴史上、初日最下位から逆転優勝を飾った選手は1963年の第1回大会を制した石井朝夫のみ。当時の石井は第1ラウンドで80を叩き首位に8打差をつけられる最下位スタート。ところが第2ラウンドから最終ラウンドまでなんと3日連続ベストスコアをたたき出し、終わってみれば後続に8打差をつけての圧勝劇だった。大会創設以降、昨年まで実に46回を数えるゴルフ日本シリーズの歴史の中で、こんな快挙を成し遂げたのは後にも先にも初代チャンピオンだけだ。
そして、この47年前の“伝説V”に挑もうとしているのが石川だ。2007年に弱冠15歳で出場したマンシングウェアオープンKSBカップで初優勝を果たし、2009年にはツアー史上最年少となる18歳での賞金王獲得、今年5月の中日クラウンズ最終日では世界を驚愕させるツアー最少ストローク『58』…。これまで数々の衝撃的出来事を残してきた19歳には、逆転賞金王へ優勝が絶対条件となる今大会で初日最下位に沈んだことさえ奇跡の序章にしてしまう力があるのかもしれない。残り36ホールで首位とはまだ6打差と離されてはいるが、石川の見据える先は47年前の再現と逆転でのタイトル戴冠だけだ。
一方、初日首位発進で賞金ランク3位から逆転賞金王を目指す池田勇太はこの日5バーディ、2ボギー、1ダブルボギーの1アンダー69。通算8アンダーと1つスコアを伸ばし、単独トーナメントリーダーの座をキープした。石川&池田の最大のライバル、賞金ランクトップの金庚泰(韓)が通算1アンダー10位タイと好位置につけているだけに、三つ巴の賞金王争いからは大会最終日の最終ホールまで目が離せない展開となりそうだ。
【石川&池田の逆転賞金王への条件】
賞金王の可能性があるのは現在賞金ランク1位の金庚泰、2位石川、3位池田の3人。金庚泰との賞金差が約2,883万円の石川は、今大会で優勝かつ金庚泰の最終成績が2位タイ以下(3人以上)になること。金庚泰との賞金差が約3,606万円の池田は、今大会で優勝かつ金庚泰の最終成績が8位タイ以下になること。