欧州ツアー史上もっとも悲しい日にT.エイケン首位堅守
ヨーロッパが誇る巨星セベ・バレステロス(スペイン)急逝の報を受け、会場全体が悲しみに沈む中、トーマス・エイケン(南ア)がツアー初優勝に王手をかけた。
奇しくもセベの故郷スペイン(レアルクラブ・デ・ゴルフ・エル・プラト)で行われている欧州ツアーのオープン・デ・エスパーニャは現地時間7日、第3ラウンドの競技を終了。この日の午前2時過ぎにこの世を去った地元のヒーローを偲び、会場には半旗が掲げられ、選手たちが自主的に喪章(黒いリボン)をつけての戦いとなった。午後には全員が黙祷を捧げる時間ももうけられるなど悲しみ一色に染まった。
そんな中、前日トップに立ったエイケンが2バーディ、2ボギーのイーブンパー72にスコアをまとめ、通算8アンダーで単独トップの座を守った。2打差の2位タイには、この日のベストスコアの3アンダー69をマークしたアンダース・ハンセン(デンマーク)の他、ルーキーのスコット・ジェイミソン(スコットランド)、地元期待のパブロ・ララサバル(スペイン)らが並んだが、爆発的スコアをマークする選手はいなかった。
最終日の注目はツアー初優勝を狙うエイケンとかつて同ツアーの新人賞に輝いたララサバルの対決。大先輩の死に直面し全身黒の出で立ちで登場したララサバルは「本当に苦しいラウンドだった。ゴルフ人生でもっとも悲しい日になってしまった」と悲痛な声。「明日は絶対に勝って、この勝利をセベとセベの家族に捧げたい。自分のためじゃなく、セベのために勝ちたい」とセベが1995年に優勝している大会での逆転Vを誓った。
また、ライダーカップでは常にセベとのコンビでアメリカチームを苦しめたホセ・マリア・オラサバル(スペイン)はラウンド中も涙が止まらず、3オーバー75を叩いて通算3オーバー45位タイに沈むと、「彼のようなプレーヤーはもう2度と現れないだろう。ゴルフが上手かったり強かったりする選手は現れても彼のようなカリスマはもう2度と現れない」とコメント。実の兄以上の存在だった親友の死を悼んだ。