今季急成長を遂げたW.シンプソン、ルール改正をどう感じる?
2011年に大化けした選手の筆頭に数えられるのが、26歳のウェブ・シンプソン(米)だ。
シンプソンは、米男子ツアーのレギュラーシーズン最終戦のウィンダム選手権でツアー初優勝を飾ると、プレーオフシリーズ第2戦のドイツ銀行選手権ですぐさま2勝目を挙げた。さらにフォールシリーズにも出場し、マクグラドレー・クラシックでプレーオフ負けの2位となり、賞金ランキングでルーク・ドナルド(英)を逆転してトップに立った。最終戦に持ち越された賞金王タイトル争いは、熾烈な戦いの末に結局ドナルドにひっくり返されたものの、シンプソンは634万7,353ドル(約4億9,000万円)を稼いで同ランク2位でシーズンを終了。今季トップ10入り12回という安定感で平均ストロークNo.1のバードン・トロフィを獲得し、世界ランキングは今季開幕前の208位から10位へと大躍進した。
大ブレイクの1年を終えたシンプソンだが、実は“プレーオフ負けしたチューリッヒ・クラシック・オブ・ニューオリンズが、もし来年だったら賞金王になれたかも!?”という声が聞こえてくる。シンプソンは同大会でブッバ・ワトソン(米)にプレーオフ負けしているが、最終日の15番のグリーン上でアドレス後にボールが動いたことで1打罰を受けている。おかげでプレーオフに持ち込まれ初優勝を逃したわけだが、このルールが来季から変更されることになったのだ。テレビ中継の普及により、選手本人も気づかぬうちにボールが動いたことが、スコアカード提出後に視聴者の指摘で発覚し、スコア過少申告で失格する選手が増えてきた。これを重要視したR&AとUSGAは、来季からこの点を改正することを決めた。来季からは選手自身がボールを動かす原因になっていないことが確実な場合、罰が免除されることになった。
もちろんゴルフに“「たら」「れば」”はなく、シンプソンがチューリッヒ・クラシックに勝っていたとしても賞金王を獲得できたかどうかはわからない。しかしシンプソン躍進の影に、このペナルティの悔しさがあったことだけは間違いないだろう。