フェデックスカップ王者 vs. 賞金王
2011年忘れられない出来事の1つに欧米両ツアーでルーク・ドナルド(英)が賞金王に輝いたニュースがある。ダブル賞金王は史上初の快挙。ワールドマネーランキングでもちろんトップだったドナルドは賞金だけで年間890万ドル強(約7億円)を稼ぎ出した。
しかしドナルドが本当に稼ぎ頭だったかというと疑問符がつく。実は米男子ツアーのフェデックスカップポイントランク1位に輝いたビル・ハース(米)は年間王者のボーナスとして1,000万ドル(約7億8,000万円)を獲得している。これはドナルドが25試合で積み重ねてきた890万ドルを上回る額。
もちろんドナルドもフェデックスカップランキング3位に入り200万ドル(約1億5,600万ドル)を獲得しているが、ハースの1,000万ドルと比べると5分の1。
近年米ツアーでは高額ボーナスが約束されていることもあり、賞金王よりフェデックスカップ王者に狙いを定めるプレーヤーが多くなった。ドナルドにしてももし欧米両ツアーでの同時賞金王がかかっていなかったら、スケジュールを変更してまで米男子ツアーの最終戦に出場することはなかったはず。
賞金王の価値が軽減しているため、昨年のジム・フューリック(米)はフェデックスカップ王者に輝いた後、賞金王のチャンスがありながらフォールシリーズには出場せず、同ランク2位に甘んじている。
もちろん賞金王のタイトルにはそれなりの価値がある。だが選手たちがフェデックスカップの方に魅力を感じるようになったせいで、ドナルドの欧米両ツアー賞金王の大記録も思った以上に騒がれなかった、という現実があるようだ。タイガー・ウッズ(米)やローリー・マキロイ(北アイルランド)が賞金王に輝けば話は別だが、今後もフェデックスカップ重視の傾向は続くことになりそうだ。