苦労人H.フレイザー、40歳の新たな旅立ち
40歳のハリソン・フレイザー(米)がマスターズからの招待状に感激し、新たなシーズンに挑む。
米男子ツアー今季開幕戦、ヒュンダイ・トーナメント・オブ・チャンピオンズ(現地時間6〜9日/ハワイ、プランテーション・コース at カパルア)に初出場する12人のうちのひとりでもあるフレイザーは、テキサス大を卒業したとき、不動産関係の仕事を選択した。自分のゴルフがプロになるほどではないからという判断だったが、結局あきらめきれずにプロになることを決断。QTに何度も挑戦してツアー出場権をつかんだ苦労人だ。
2010年には右肩と左でん部の手術のためにシーズン途中でプレーを断念。ツアープロをあきらめかけた時期もあった。
昨年、ツアーに戻ってきたときも「空っぽになっている気がした。自分の能力、気持ち、体などすべてが信用できなくなっていたんだ」と、首をかしげながらプレーしていた。それから3か月間は予選落ちが続いた。そんなフレイザーを見かねて、友人たちが様々な仕事の口を持ってきてくれた。フレイザーは迷い、大学時代のチームメイトで親友のジャスティン・レナード(米)に相談したほどだった。
そんな折、5月のHPバイロン・ネルソン選手権でようやく予選を通過し、翌月に出場する予定のなかったフェデックス・セントジュード・クラシックで初優勝。欧州ツアー賞金王の経験もあるロバート・カールソン(スウェーデン)をプレーオフで下しての見事な勝利だったが、中年に差しかかり、ゴルフをあきらめかけた男に神様がくれたプレゼントだった。
だが、喜びはこれで終わらない。昨年のクリスマスイブ。郵便物を取りに行った妻が、オーガスタナショナルからの封筒を見て感涙しながら夫の元へと飛んできたのだ。
マスターズからの招待状。その意味するところを知り、これまでの苦労を分かち合ってきた2人は、そのまま書斎に入ってドアを閉め、それを読みながら喜びの涙に暮れた。
招待状が届いた4日後、フレイザーは3人の子供や妻など家族とともにハワイへ飛んだ。マスターズ(4月5日〜8日/ジョージア州、オーガスタナショナルGC)が待っている新しいシーズンのスタートだ。40歳のフレイザーが若者たちに混ざってどんなシーズンを送るのか。じっくりと見届けてみたいものだ。