2度の心臓手術を乗り越えた奇跡の男、全米オープンに挑む
2度の心臓移植を経て全米オープンの大舞台に挑む奇跡の男がいる。
現地時間17日に開幕する米男子ツアーのメジャー第2戦、全米オープン(カリフォルニア州ペブルビーチGL)に、オハイオ州コロンバスのスプリングフィールドCCで行われた最終予選を突破して出場するエリク・コンプトン(米)がその人だ。
フロリダ州マイアミ出身のコンプトンは、学校で一番足が速いスポーツ万能の子供だった。しかし病魔は静かにしのび寄っており、9歳の頃に心臓に問題があることが発覚。12歳で初めて心臓移植を受けた。手術後、両親は息子に座ったままの生活を強いるのではなく、外で何かをやらせたいと考えた。それがゴルフだった。
クラブを握らせてみると、コンプトンは両親が驚くほどの勢いで上達。ジョージア大ゴルフチームの一員となり、2001年にプロ転向を果たした。ネーションワイドツアーやカナディアンツアーにも出場権を得て、バーバラ夫人という伴侶も見つけたのだ。27歳の時に再び心臓発作起こし2度目の移植手術を受けたが手術は無事に成功。再びゴルフクラブを握ったコンプトンは、復帰に向けてトレーニングを開始した。30歳で迎えた今年、コロンバス会場では59人中3人しか本戦に出られない全米オープン最終予選を見事に突破。大舞台への切符を手にしたのだ。
晴れてメジャーの舞台に乗り込んだコンプトンは「もう一つの心臓をもらったことも夢のようだし、再びゴルフができるようになったのも夢のようだ」と感激。「僕は30歳だが残りの人生は大きく広がっている。今週、出場できて最高だよ。できれば、ここでいいプレーをして(全米オープンに勝って)10年シードがもらえるといいね」と、明るく笑ったコンプトン。
不死身の男、コンプトンは、手術直後に娘にも恵まれ、人生を満喫している。(STATS-AP)