飛躍する21歳薗田、もう「遼の先輩」とは言わせない!
国内男子ツアーで2年続けて激しい賞金王争いを展開した19歳の石川遼、25歳の池田勇太とともに、日本のゴルフ界の将来を担う選手といわれている21歳の薗田峻輔。プロとして初めてツアーに参戦した今季は、6月のミズノオープンよみうりクラシックで初優勝を遂げ、この大会で獲得した資格で全英オープン初出場を果たすなど、今後の飛躍を感じさせるシーズンとなった。
幼少の頃からおもちゃのクラブとボールでゴルフに親しみ、様々なスポーツや習い事の中でゴルフを選択。小学校の高学年からプロゴルファーになることを夢見て練習に没頭し、中学で単身オーストラリアにゴルフ留学した。現地では、わざわざ日本人の少ない学校を選びゴルフ三昧の日々を送っていたが、肝心のゴルフで出場できる試合が少なかったのが悩みの種だった。
一時帰国してジュニアの試合に出場したところ、杉並学院高校ゴルフ部監督の吉岡徹治氏に見初められる。本人はオーストラリアでの留学生活を続けるつもりだったが、日本で「より多くの試合に出ろ」と吉岡氏に説得され帰国。中学卒業後は杉並学院高に入学し、ジュニア時代からの愛称“KING”の名に恥じぬ活躍を見せ、同校の後輩・石川とも切磋琢磨した。
高校3年時に関東アマで優勝したが、すぐにプロ転向はせず明治大学へ進学。明大ゴルフ部を2部リーグから1部へと昇格させる立役者となるもやはり環境に疑問を感じ、より厳しい世界を求め大学2年となった今年にプロ転向。そしてツアー出場わずか5戦目のミズノオープンで優勝し、こんなに早く結果が出たことに一番驚いたのは薗田自身だったことだろう。
プロ初勝利から約2か月後に開催されたフジサンケイクラシック。この大会では、後輩ながら今や国内男子ツアーの“顔”に成長した石川と死闘を繰り広げた。実に4ホールにも及ぶプレーオフの末に惜しくも敗れたが、日本ゴルフの将来を背負って立つ若手として一気に存在感をアピール。それまでの「遼の先輩」という代名詞を吹き飛ばし、「薗田峻輔」の名を世に知らしめた。
その後も安定した成績を収めた薗田は、今季出場23試合のうち優勝1回、トップ10入り5回(うち2回は単独2位)で賞金ランキング10位。シーズン終了後に行われた『2010年度ジャパンゴルフツアー表彰式』では、ルーキーNo.1の称号でもある最優秀新人賞 島田トロフィを獲得した。来年からは米男子ツアーを中心とした海外遠征も視野に入れ、心身ともにさらに磨きをかけるためのオフシーズンを過ごしている。