K.ウェブが有村に賛辞「うつむく必要は全くない」
現地時間27日に行われた米女子ツアーの今季第2戦HSBC女子チャンピオンズ(シンガポール、タナ・メラCC)最終ラウンド。初日から首位を快走していた有村智恵は、ツアー16年目を戦うホール・オブ・フェイマーのカリー・ウェブ(豪)に終盤で逆転を許し、1打差の単独2位フィニッシュとなった。
ラウンド後、有村は「11番がターニングポイントでした。3打リードしていたのにあそこで私がボギー、カリー(ウェブ)がバーディを奪って一気に1ストローク差に迫られた。あれが勝負を分けたカギ」と敗戦を振り返った。確かに勝機はあった。だが「昨日まで入っていたパットが今日は少しだけショートしていた」と肝心のパッティングが決まらず、「最後は“1打の壁”がありましたね。悔しいです」と言葉を詰まらせながら涙を浮かべた有村。それでも「結果は残念ですが、それと同時にとても幸せな気分でもあります」と世界の強豪と互角に渡り合った達成感をにじませた。
最終日はメジャー通算7勝を誇る実力者のウェブと、今年すでにアジア・豪州・米ツアーで4戦4勝を挙げる世界ランクNo.1のヤニ・ツェン(台)との同組ラウンド。そんな2人に囲まれながら、最後まで諦めず世界のトップに食らいついていった有村の精神力は称賛に値する。「チエは日本ツアーで優勝経験があるけど、今回は日本とは違ったプレッシャーがあったはず。でも重圧の中、自分をよくコントロールしていた。決して易しい状況ではなかった最終日もアンダーパー(71)をマークしたわけだし、最後まで勝つチャンスをつくっていた。うつむく必要なんて全くない。自分のプレーを誇りに思うべき」と、優勝者のウェブも日本の23歳に惜しみない賛辞を贈った。
それにしても、宮里藍が2005年豪州ツアーのANZレディースマスターズで優勝争いをした時も、宮里の海外初Vを阻んだのはウェブだった。その試合では3日目を終え4打差の首位に立っていた宮里を、ウェブが最終日序盤のバーディ&イーグルで逆転し圧倒的な強さを見せつけたもの。今回の米ツアーでそのウェブを相手に接戦に持ち込んだ有村は、優勝こそ逃したものの世界に自らの存在を大きくアピールしたに違いない。
今大会で3位以内に入ったことで、米ツアーのシーズン最終戦であるタイトルホルダースへの出場権を手にした有村。メジャー初戦のクラフト・ナビスコ選手権に続きビッグチャンスへの切符を自らの手でつかみ取った。「米ツアー? すごく好きだし今週戦ってみてますます挑戦したくなりました。でも今は日本でプレーしていますから、まだ先かな…」。その言葉の裏には先輩の宮里を間近で見て「生半可な気持ちでは挑戦できない」という強い思いがあるのだろう。だがそう遠くない将来、有村は米ツアー常駐組の一員となり世界のトップで戦っていそうな雰囲気を漂わせている。