タイガー完全復活お預け R.ロックに優勝譲る
かつて最終日を首位または首位タイで迎えた際のタイガー・ウッズ(米)は滅法強かった。他の選手はその時点で戦闘意欲を削がれタイガーの不敗神話は綿々と築かれた。しかし2年以上公式戦での勝ち星から遠ざかっているタイガーに、今回もまた勝利の女神は微笑まなかった。
現地時間29日に行われた欧州ツアーのアブダビHSBCゴルフ選手権最終ラウンド(UAE、アブダビGC)。今季初戦のタイガーはトップタイからスタートし、2番でいきなり10メートル以上のロングパットを決め完全復活を予感させたが、その後は思うようにスコアを伸ばせずイーブンパー72に留まった。結局、逃げ切りVを達成したロバート・ロック(英)に2打差の通算11アンダー3位タイに甘んじている。
「今日はタッチが合わなかった」と元世界No.1のタイガー。「ロックは素晴らしいゴルフをしたよ。自分も勝ってもおかしくない内容だったけれど、そうはならなかった」と憮然とした表情で相手の健闘を讃えた。
最終日最終組をロックと一緒の組で回ることになったときタイガーは、「彼を知っているか?」と聞かれ「あまり良く知らない。彼のプレーは見たことがない」と答えていた。34歳のロックのツアー優勝は昨年のBMWイタリアン・オープンの1勝のみで、トップ10入り23回、大会前の世界ランクは117位の伏兵。対するタイガーはメジャー14勝、世界中で80勝以上を挙げて来た。
「タイガーと一緒に最終日最終組を回れるなんて本当に光栄だ。今夜は眠れないかもしれない」と首位に並んだ前日は語っていたが、最終日はギャラリーが彼の名にちなんで映画『ロッキー』のテーマソングを口ずさむ中、タイガーを上回る2アンダー70をマークして逃げ切り、嬉しいツアー通算2勝目を挙げると「信じられない」を連発した。
惜しかったのはローリー・マキロイ(北アイルランド)。最終日を3アンダー69で回り、通算12アンダーで昨季大会に続き単独2位。しかし惜敗にも本人は「良い面だけを見ることにするよ。シーズン初戦でこれだけ良いプレーが出来たんだからこれから楽しみだ」と前を向いた。
タイガーと同じ3位タイにグラエム・マクドウェル(北アイルランド)とトーマス・ビヨーン(デンマーク)が入り、18歳のマッテオ・マナッセロ(イタリア)が通算10アンダー6位タイに食い込んだ。尚、世界ランク1位のルーク・ドナルド(英)は通算1アンダー48位タイに終わっている。