I.パークがけん引した2013年女子ゴルフ界
2013年の女子ゴルフ界を引っ張ったのは、何といってもインビー・パーク(韓)だ。
クラフト・ナビスコ選手権、ウェグマンズLPGA選手権、全米女子オープンとシーズン最初のメジャー大会3試合で続けて優勝。ゴルフ史上、球聖ボビー・ジョーンズしか達成したことのない年間グランドスラムの可能性にぐんと近づいたのだから。
ジョーンズの時代は、年間グランドスラムと言えば、全米オープン、全英オープンと全米アマ、全英アマの4タイトルを同じ年に獲ることだった。終生、アマチュアとしてプレーしたジョーンズは1930年にこれを達成したが、その後トッププレーヤーのほとんどがプロに転向する時代となり、年間グランドスラムは、マスターズ、全米オープン、全英オープン、全米プロゴルフ選手権の4試合を同じ年に勝つことに変わった。
女子もこれに準ずる形でグランドスラムが定義されている。今年から、クラフト・ナビスコ選手権、ウェグマンズLPGA選手権、全米女子オープン、全英リコー女子オープンの4試合に加え、エビアン選手権が“昇格”し、メジャー大会は5試合となったが、それでも4試合連続優勝となればプロ史上初の快挙。それだけに周囲は4試合目の全英リコー女子オープンでパークがどんなプレーをするのかに注目した。
「たくさんの人々が、私がいいプレーをすることを予想してくれて、私のために祈ってくれるなんて驚きです。私の味方がどれだけいるかわからない。それはアドバンテージになる。すごくいいエネルギーをくれている。どこでもそれを感じられることは本当に大きい。あとは成り行きを見ましょう」と、パークは自然体で大会に臨んだ。
舞台はゴルフの聖地、セントアンドリュース オールドC(スコットランド)。初日、首位に3打差の18位タイとまずまずの位置でスタートしたパークだったが、2日目には8打差の22位タイに後退。大記録へのプレッシャーを口にした。強風が吹き荒れてサスペンデッドとなり、3日目は4ホールを消化するにとどまり、日曜日に32ホールをプレーすることになったが、最終ラウンドで6オーバー78と力尽きた。結局、優勝したステイシー・ルイス(米)に14打差の42位タイ。それでも、4日間極度の緊張感の中でプレーしたことを糧にすることを誓った。
結局、今季のパークはメジャー3試合を含む米女子ツアー6勝でシーズンを終えて、ロレックスランキング(女子世界ランキング)No.1の座をゆるぎないものにした。終盤、やや失速したものの、プレーヤー・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀選手賞)と賞金女王のダブルタイトルも獲得して最高のシーズンを終えている。