日本人女子2人目のメジャー優勝者は出るか? I.パークの調子は?
日本人女子で2人目の海外メジャー優勝者が出るのかどうか。メジャー大会が5つに増えて2年目となる米女子ツアーの興味はそこに集約される。
樋口久子が海外メジャー大会の一つ、全米女子プロゴルフ選手権(現ウェグマンズLPGA選手権)で優勝したのは1977年。以降、後輩たちが次々にメジャー大会に挑んでいるが、メジャー大会を制した日本人は現れていない。1987年に外国人選手として初めて米ツアーの賞金女王となった岡本綾子は、全盛期にメジャー大会全ての試合で優勝争いを演じるほどの強さを見せたが、残念ながらメジャー制覇には手が届かなかった。米ツアー通算17勝の岡本に次ぐ勝利数(通算9勝)を誇る宮里藍が、現在メジャータイトルに最も近い位置にいる。実際、何度も優勝争いを繰り広げており、いつ勝ってもおかしくない。
しかし2013年は開幕直後に交通事故に巻き込まれるなど不運が続いて残念ながら未勝利に終わり、メジャー大会でも全米女子オープンの11位タイが最高という不本意なシーズンだった。しかし、決して力が衰えたわけではなく、本人はむしろやる気満々。昨年12月の国内男子ツアー最終戦で涙の初優勝を飾った次兄、優作からパワーをもらって臨む新しいシーズンは期待が持てそうだ。
昨年不遇の時間を過ごしたのは藍だけではない。宮里美香も期待が空回りする形でツアー通算2勝目はお預けのまま帰国した。だが、国内ツアーの日本女子オープンゴルフ選手権競技で激闘を制しており、注目が集まっている。
このダブル宮里の前に立ちはだかるのが韓国勢だ。特にエビアン選手権がメジャー大会に昇格したことで5つに増えたメジャータイトルのうち、最初の3つを取ると言う偉業を成し遂げたインビー・パークの強さは健在。パークの強さは「できるだけ低くテイクバックして、フォローもできるだけ低く出す」というパッテイングにある。ライバルたちが「あんな風に打ちたい」と声を揃える正確なパットを武器に今年も大暴れすることが予想されており、今年も大きな壁となるのは確実だ。
層の厚い韓国勢はメジャー優勝経験者だけでも数が多く、毎年実力を蓄えてくる選手も多いことから油断のならない存在であるのは間違いない。
また、全英リコー女子オープンで優勝し、パークのメジャー4連勝を阻止すると同時に米国勢の維持を見せたステイシー・ルイス(米)やCMEグループ・タイトルホルダーズで勝ったフォン・シャンシャン(中)、昨シーズン終盤にものすごい勢いでパークに最後まで立ち向かったスーザン・ピーターセン(ノルウェー)も元気いっぱいだ。元ロレックスランキング(女子世界ランキング)No.1のヤニ・ツェン(台)も、復活の兆しを見せている。さらに、婚約を発表したポーラ・クリーマー(米)や代理母による長男誕生を明かしたばかりのクリスティー・カー(米)など、私生活が充実したメジャー優勝経験者たちも、心機一転でシーズンを迎える。
カリー・ウェブ(豪)、朴セリ(韓)らベテランも力も衰えを感じさせることがなく戦国時代が続く米女子ツアー。その中で、頭一つ抜け出すのは誰か。2014年も手に汗握る熱戦の連続になりそうだ。