注目選手振り返り 〜池田勇太〜
2015年、悲願の賞金王にはまたしても手が届かなかった。それでも選手会長として区切りの3年目、そして20代最後の「集大成の年」は、池田勇太にとって忘れられないシーズンになったことだろう。
「選手会長として、最多勝利で賞金王」。ツアー初の偉業を目標に今年をスタートした池田は、シーズン序盤でしばらく低空飛行を続けた。開幕から何が悪いでもなく結果がついてこない。そんな中、7月の長嶋茂雄INVITATIONALセガサミーカップで3日間ノーボギーを続けるなどようやく調子が出始め、次戦のミュゼプラチナムオープンでは5位タイに入った。
ツアーを盛り上げるため、多忙な会長職もこなしながら、ミュゼプラチナムオープンなどの新規大会に欠かさず出場。同大会の翌週に全英オープン、その翌週にダンロップ・スリクソン福島オープンを戦う強行軍で2戦連続の予選落ちを喫したときには「やはり二足のわらじで活躍するのは難しい」という印象を改めて強めた。
そこから約1か月を挟み、ようやく池田に勝利の瞬間が訪れる。RIZAP KBCオーガスタゴルフトーナメントで後続と5打差の完全優勝。満足いく内容でシーズン初白星を収め、5月に亡くなった祖父・直芳さんに良い報告が出来た。「これでやっとスタートラインに立てる」。そう気を引き締めた池田は、 日本オープンゴルフ選手権競技での連覇こそならずも、9月のANAオープンから5戦連続トップ8入りと好調を維持した。
しかし、その間に欲しかった2勝目は手に出来ず。以降トップ10に食い込んだのは、WGC-HSBCチャンピオンズを欠場して挑んだHEIWA・PGM CHAMPIONSHIP(6位タイ)、そして最終戦のゴルフ日本シリーズJTカップ(4位)のみ。最後まで金庚泰(韓)の牙城を崩せないまま、賞金王の夢は果たせなかった。それでも、2009年からの年間1勝以上という記録を維持出来たことは小さくない成果だ。
また、今年を区切りと決めた選手会長職でも一定の実績を残した池田。今月15日発表の来季日程によれば、来年は今年から1試合増の26試合が開催される予定で、さらにそのほか数試合の開催に向けても協議が進んでいるという。就任当初の目標である30試合には届かずも、ここで選手会長としての役割は一区切り。プレーに専念できる来年こそは、20代で果たせなかった賞金王の悲願を叶えられるだろうか。