注目選手振り返り 〜アダム・スコット〜

2013年マスターズ王者のアダム・スコット(豪)にとって2016年はパッティングスタイルの変更から始まった1年となった。アンカリング打法禁止を受けて、2015年中から時折通常のパターを試していたスコットだったが、米ツアーではわずかトップ10入りが3回に終わり、2001年から毎年世界中で1勝以上という記録も途絶えた。
そして、同年の終盤からは長尺パターを完全に封印。通常のパターでスコットがどの程度戦うことができるのかというのは、2016年におけるゴルフツアー界の関心事でもあった。すると、元世界No.1はさっそく結果で答えを出す。
ノーザン・トラスト・オープンで2位タイと調子を上げてきたスコットは、続く「フロリダスイング」の初戦ザ・ホンダ・クラシックで3日目に「66」をマークして首位に立つと、最終日もリードを守りきって優勝。約2年ぶりとなるトロフィを獲得した。さらに、それだけに終わらない。翌週のWGC-キャデラック選手権では、3打差2位タイから出た最終日に3アンダー69で回り逆転優勝。米ツアーで複数回優勝を挙げたのは、2013年以来となった。
その後も、スコットは常に上位争いに絡み続けた。プレーオフシリーズでは、第3戦まで3試合連続で4位(タイ)に入ると、ツアー選手権では8位タイに。トップ10入りは9回、フェデックスカップ・ランキングは4位でシーズンを終えた。しかし、好調の要因はパッティングではなかった。ストローク・ゲインドでは、パッティングはツアー129位に終わったが、ティー・トゥ・グリーンと、アプローチ・トゥ・グリーンで1位。その結果、トータルでは3位に入り、ショットの好調さが昨季の成績を生み出した。ツアー屈指のショットメーカーは今季約4年ぶりとなるメジャー制覇を狙う。