石川遼、運も味方し3年ぶりV 71と73ホール目にドラマが
国内男子ツアーの日本プロゴルフ選手権大会は石川遼がプレーオフで黄重坤(韓)を下し、3年ぶりの優勝を果たした。
舞台は鹿児島県のいぶすきゴルフクラブ。九州を襲った豪雨により、一日遅れの開幕(5日の金曜日)となった。天候次第では短縮競技、中止の可能性もあったが主催する日本プロゴルフ協会会長の倉本昌弘は「完結を目指しています」とし、無事終えることとなった。最高の形で。
日曜日は36ホールの長丁場。石川は首位タイから第3ラウンドをスタートしたが、6バーディ、3ボギー、2ダブルボギーの1オーバー71とスコアを落とし、通算9アンダー6位タイで最終ラウンドに進んだ。
上が伸ばしきれない中で石川は1つ伸ばして折り返し、12番、16番でバーディを奪い通算12アンダーとする。そして迎えた17番パー3(71ホール目)でドラマが起きた。
ピン手前に池、セオリーは右から。オナーの石川が放った一打はドローがかかりきらずグリーンは捉えたが長いバーディパットを残した。それを見たハンは大きめのアイアンを選択。オーバー目にグリーンオンまたは最悪こぼれても寄せてパーという計画だったが、持ち球の強いフェードではなく弱いフェードになってしまった。
ぎりぎりグリーンオンしたものの傾斜でボールは池の方へ。ラフで止まるかと思われたが止まらずボールは消えた。3打目のアプローチは短いが嫌なフックラインにつき、沈めることが出来ず単独首位を走っていたハンはこのホールをダブルボギーとし、石川と並んだ。
最終18番パー5は互いに2オン2パットのバーディでプレーオフに突入した。
石川はツイていた。18番で行われたプレーオフ1ホール目(73ホール目)。石川のティーショットはフェアウェイ右のカート道路に当たりあわやOBだったがフェアウェイに戻り、結果的にビッグドライブとなった。ウッドではなくアイアンで打つことができたためグリーン上で止めることに成功。ハンの長いイーグルパットが外れ、石川は約6メートルを決めれば勝ちという状況に。
「あのパットはなぜか必ず最後、右に曲がると思ってボールが残り50センチくらい手前から曲がりだして、信じられない気持ちです」とスライスラインを読みきって2016年のRIZAP KBCオーガスタ以来となるツアー通算15勝目を手にした。
ウィニングパットを決めた瞬間、石川は今年のマスターズで優勝したタイガー・ウッズ(米)のように雄叫びを上げガッツポーズをした。
「諦めないで挑戦者の気持ちで一打一打やっていけば自分でもできる、本当にいい経験になりました」
「自分がここに立っているのが信じられない、夢なのかなと思うくらい、すごく遠く感じていた部分でもありました。次回以降のツアーで応援に応えられるようにしたいです」
感動的な七夕の日となった。