新兵器で偉業に挑むタイガー 全英オープン
タイガー・ウッズ(米)が、新しいパターで前人未到の記録に挑む。
第139回全英オープンは現地時間15日、ゴルフの聖地セントアンドリュース オールドC(スコットランド)で開幕。これまでセントアンドリュースで3回、同大会を制した者はいないが、タイガーはすでに2000年、2005年に同地での大会で優勝しており、今年勝てば史上初の快挙となる。
交通事故に端を発したスキャンダルによる長期戦線離脱や、その後も首痛などを抱えて今季これまで未勝利。だが、タイガーはこれを克服するために大一番を迎えるにあたって大きな決断を下した。パターを替えたのだ。1999年のバイロン・ネルソンクラシック以来、約11年間使用し、メジャー14勝のうち13勝をもたらしたスコッティ・キャメロン・ニューポート2をバッグから抜き、見た目の似たナイキ・メソッド001という新しい武器を入れた。
今季はこれまで米男子ツアー6試合に出場して、1ラウンドの平均パット数は29.19。ツアー96位タイと足を引っ張る大きな原因となっている。また、タイガーがグリーンのスピードについてオフィシャルに尋ねたところ、セントアンドリュースのグリーンはスティンプメーターで10フィート以下と、メジャーの舞台にしてはかなり遅いことがわかった。それを克服しようと新しいパターを持ち込んできたのだ。「速くないグリーンで苦しんできた。でも、このパターは新しい溝の技術で転がりがいい」と、白い歯をのぞかせた。
昨年、全米オープンでルーカス・グローバー(米)が使用し、さらに全英オープンでスチュワート・シンク(米)が使っていずれもメジャー初優勝を飾った同モデルを手に、タイガーがなりふりかまわず勝負に出る。
予選ラウンドの同伴競技者は、好調なジャスティン・ローズ(英)とカミロ・ビジェガス(コロンビア)。スキャンダルには厳しい英国のメディアの洗礼は、すでに先週、アイルランドのプロアマである程度かわしており、集中力もアップしている。
ジャック・ニクラウス(米)の18勝に続くメジャー14勝を誇るタイガーが、記録を塗り替えられるかどうかは今大会次第という声も大きい。タイガー自身にもその声は届いているに違いない。ゴルフ発祥の地と言われる得意の聖地で復活を誓うタイガー。スコットランドの天候が味方してくれるかどうかもあわせて注目だ。
ライバルのフィル・ミケルソン(米)、アーニー・エルス(南ア)、パドレイ・ハリントン(アイルランド)らも、150年目の節目の大会にクラレットジャグを手にしようと意気込んでおり、勝負の行方は例年以上に混沌としている。
尚、日本勢は石川遼を筆頭に9人が出場する。