宮里藍が輝いた60年目の米女子ツアー(Vol.3)
ロレーナ・オチョア招待の3週間後に行われたシーズン最終戦のLPGAツアー選手権。この大会は宮里藍にとって勝負の最終戦となった。シーズン中盤からの不調が響き、ロレーナ・オチョア招待終了時点で賞金女王の可能性が消滅。かつて頂点に立っていた世界ランクでも6位にまで順位を落としていた。しかし、藍には目指すものがあった。シーズン開幕前から「今年最大の目標」と公言してきた米女子ツアーの年間最優秀選手賞、“プレーヤー・オブ・ザ・イヤー”だ。
年間成績をポイント換算して争われるこのタイトルは、藍が自らの師と仰ぐアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)が2001年から5年連続、その後はオチョアが4年連続で獲得しているまさに“女王”の代名詞。師匠と親友の後を継ぐためにも、藍にとっては喉から手が出るほど欲しいタイトルだったに違いない。
シーズン最終戦のLPGAツアー選手権を前にして、プレーヤー・オブ・ザ・イヤーのポイントランク首位は今季メジャー2勝を挙げたヤニ・ツェン(台)。藍はわずか9ポイント差の2位につけていた。最終戦で優勝すれば文句なしにタイトル奪取、優勝を逃したとしても上位フィニッシュならツェンの成績次第で逆転は十分可能だった。
ところが、最後の最後まで藍の試練は続くことに。メジャー並みの難コースであるLPGAツアー選手権の舞台、フロリダ州グランド・サイプレスGCを激しい寒波が襲ったのだ。早朝の最低気温はわずか4℃、最大風速も秒速7メートルを超える厳しいコンディションの中、藍は初日『79』と大苦戦。カットラインぎりぎりの65位タイでなんとか予選ラウンドを通過したものの、3日目を終え通算7オーバー35位タイ。56ホール終了時点でのトップ30だけが進出できる最終ラウンドへ駒を進めることができなかった。