宮里藍が輝いた60年目の米女子ツアー(Vol.2)
女王オチョアが現役を退いたことにより、世界ランクではそれまで2位につけていた申智愛(韓)が代わって1位に浮上。トレス・マリアス選手権で優勝した宮里藍も5位から3位に順位を上げた。それ以降7週連続で申が1位をキープしていたが、6月のショップライトLPGAクラシックで今季4勝目を挙げた藍が申を逆転して日本人初の世界ランクNo.1の座へ。この2人に今年のLPGA選手権でメジャー2勝目を達成したクリスティー・カー(米)が加わり、そこから約2か月間は毎週目まぐるしく順位が変動していた。
そんな中、8月のセーフウェイ・クラシックで今季5勝目を挙げた藍が自身3度目となる世界ランクNo.1の座につくと、その後の試合でも常に上位の成績を収め、女王オチョア引退後のNo.1キープ最長記録(申の7週間)を抜く8週連続世界1位をマーク。また、セーフウェイ・クラシックでの勝利は自身にとって日米通算20勝目、さらに米女子ツアーでのシーズン5勝は1987年に岡本綾子が記録した4勝を上回る日本人最多勝利という快挙となった。
世界ランクNo.1のまま迎えたシーズン終盤戦、藍に試練が訪れる。一時帰国して臨んだ10月の日本女子オープンゴルフ選手権競技で、大会中に体調を崩すなど精彩を欠き9位タイ。米女子ツアーに戻ってもコンディションが回復せず、ナビスターLPGAクラシックで27位タイ、サイム・ダービーLPGAマレーシアで28位タイと2戦連続トップ10入りを逃すと、世界1位の座からも陥落してしまう。11月に入っても復調気配が見えない藍は、日米ツアー共催のミズノクラシックで2日目『79』の大叩きを演じ69位タイ。シーズン中盤までの勢いが嘘のように、不振のトンネルから抜け出すことができない。
低空飛行を続ける藍の転機となったのは、やはり親友オチョアの存在だった。ミズノクラシックの翌週に行われたロレーナ・オチョア招待で、藍は大会ホステスのオチョアと第1ラウンドを同組でプレー。「引退したロレーナ(オチョア)と久しぶりに会えて本当に嬉しい。楽しい1週間になりそう」と、初日8バーディを奪い6位タイの好発進を見せた。オチョアとの再会で本調子を取り戻したのか、68-69-68と3日連続60台をマークし2位タイの好位置で最終日へ。結局優勝には届かなかったが、単独6位に入り4試合ぶりにトップ10フィニッシュを果たした。