わずか1勝で米ツアー賞金王 M.クーチャーを分析
米男子ツアーでは例年、フェデックスカップのプレーオフシリーズが始まるとそちらの王者にばかりスポットライトが当たるが、通常のマネーキングを争う賞金レースも行われている。
今季の賞金王はツアー通算3勝の32歳、マット・クーチャー(米)。プレーオフシリーズ初戦のザ・バークレイズで優勝し、出場26試合中トップ10入り12回と安定した成績でシーズン1勝ながら初の賞金王タイトルを獲得した。ジョージア工科大学時代、タイガー・ウッズ(米)が史上初の3連覇を達成した後の1997年全米アマを制し、翌年にアマ出場したマスターズで21位タイ、全米オープンで14位タイに入り注目を集めた。そこからすぐプロにはならず、学業優先で大学を卒業。2000年にプロ転向を果たした。プロ入り後もある程度は活躍していたが、2005年にレギュラーツアーでシード落ち、翌年は下部のネイションワイドツアーで戦うなど決して順風満帆だったわけではない。
しかし、多くの挫折と苦難がクーチャーを成長させた。それは部門別データにも顕著に現れている。今季のフェアウェイキープ率(67.89%)はツアー全体のランキングで昨季の66位から39位へと上昇。同様にパーオン率(69.36%)も昨季132位から34位へと躍進している。さらに平均パット数(1.739)は昨季29位から6位。極めつきは平均ストローク(69.61)が昨季21位から1位へとジャンプアップしていることだ。これほどの技術的な進歩があれば、結果が出るのは当然ともいえる。
自他ともに大きな期待を胸に始まる2011年の新シーズン。課題はもちろんツアー競技でより多く勝つことだが、そろそろメジャータイトルにも意欲を見せたい。2010年はルイス・ウーストハウゼン(南ア)やマーティン・カイマー(独)ら20代プレーヤーがメジャー制覇を成し遂げているだけに、30代のクーチャーも年下の選手たちには負けていられないだろう。