2010年メジャーを振り返る 〜全英オープン〜
日本人選手総勢9名が大挙して参戦したメジャー第3戦の全英オープン。世界最古の大会“The Open”は1860年の第1回大会から何度かの中断を経て、今年は創立150周年の記念すべき年。舞台となるのは言わずと知れたゴルフの聖地、セントアンドリュース オールドコースだ。
日本勢のエース、石川遼は全米オープンに続きトム・ワトソン(米)と同組で予選ラウンドを回ることに。もう一人の同伴プレーヤー、パドレイ・ハリントン(アイルランド)も過去に全英オープン連覇を経験している実力者とあって気合が入る。穏やかなコンディションに恵まれた第1ラウンド、石川は相変わらずの積極的なゴルフで5バーディ、1ボギーの4アンダー68。首位に5ストロークと離されたものの、17位タイとまずまずの位置につけた。
石川に5打差をつけ単独トップに立ったのは21歳のローリー・マッキルロイ(北アイルランド)。若手No.1の呼び声高いヨーロッパの雄が、18ホールでのメジャー史上最少スコアに並ぶ9アンダー『63』と爆発した。7アンダー65で回ったルイス・ウーストハウゼン(南ア)が単独2位で続き、そこから1打遅れてジョン・デイリー(米)ら5人が追走する混戦模様。セントアンドリュースでの全英3連覇を狙うタイガー・ウッズ(米)は5アンダー67で8位タイにつけた。
大会2日目になると天候が一変。第2ラウンド途中にはグリーン上のボールが動いてしまうほどの強風で競技が中断する前代未聞の事態に見舞われ、日没サスペンデッドとなる。そんな中、風のない早い時間帯でホールアウトしたウーストハウゼンが5アンダー67をマーク。通算12アンダーまでスコアを伸ばし、後続に5打差をつけ暫定ながら単独トップに躍り出た。暫定2位には歴代優勝者の一人、マーク・カルカベッキア(米)。通算6アンダーの暫定3位にポール・ケイシー(英)らがつけた。
一方、初日『63』のマッキルロイは強風に苦しみ8オーバー80の大叩き。通算1アンダーで暫定39位タイに急降下した。タイガーも1オーバー73とスコアを落とし通算4アンダー暫定15位タイ。石川は1番のティーショットを終えた時点で競技中断となる悪条件にも負けず、我慢のゴルフで1オーバー73。通算3アンダー暫定22位タイに踏みとどまった。また、谷口徹がノーボギーの2アンダー70で回り通算4アンダー暫定15位タイ。宮瀬博文が翌朝のプレーでカットラインぎりぎりの通算2オーバーで決勝ラウンドへ進んだが、他の日本勢は予選ラウンドで姿を消した。
3日目もリンクスコースならではの強風が吹き荒れ、風に慣れている欧州ツアーメンバー有利の展開。単独トップで予選ラウンドを終えたウーストハウゼンはこの日もスコアを3つ伸ばし、通算15アンダーで独走の気配を漂わせる。4打差の2位にケイシー、7打差の3位にマーティン・カイマー(独)、8打差の4位タイにヘンリック・ステンソン(スウェーデン)、アルハンドロ・カニサレス(スペイン)らが並ぶ。
タイガーは第3ラウンドでスコアを1つ落とし通算3アンダー18位タイ。聖地での大会3連覇に黄信号が灯り、他の米国勢には勢いが見られない。日本勢も石川が3オーバー75と崩れて通算イーブンパー41位タイ。谷口も風を読みきれず5オーバー77で通算1オーバー52位タイ。宮瀬は通算3オーバー69位タイといずれも馬群に埋もれてしまった。
最終ラウンドを単独トップで迎えたウーストハウゼンは、それまで欧州ツアーでわずか1勝の実績。そんな27歳のダークホースだが、大舞台での最終日もマイペースで淡々とプレー。落ち着き払い貫禄すら感じさせるゴルフで1アンダー71をマークし、最後は後続に7打差をつける通算16アンダーでメジャー初優勝を飾った。2位には後の世界ランクNo.1、リー・ウェストウッド(英)。南ア勢としては史上4人目となる全英チャンピオン誕生に、世界が驚く1週間となった。
タイガーは最後の最後までいいところを見せられず、通算3アンダー23位タイでフィニッシュ。日本勢も石川が通算2アンダー27位タイに入ったのが最高位で、谷口は通算3オーバー60位タイ、宮瀬は通算4オーバー68位タイで大会を終えた。