2011年注目選手プレビュー 〜今田竜二〜
2010年の今田竜二は本当に苦難の連続だった。しかし、世界の強豪が集う米男子ツアーで最後の最後に7年連続シード入りを決めた粘り腰は評価されて然るべきだろう。
肋骨にヒビが入っている、正確に言うと“入っていた”ことが発覚したのは2010年3月のこと。実は一昨年の秋頃から痛みを抱えていたが、大事とは思わず痛みをこらえながら試合に出続けていた。だが一向に治る気配がなく、とうとう医者を訪ねると「今はもう骨そのものはくっついているけど、周りが炎症を起こしてる。少なくとも8週間の静養が必要」と診断された。
面と向かって「肋骨にヒビが入っていた」と言われた途端、今田の気持ちも折れてしまった。米男子ツアーは練習せずに通用するような甘い世界ではない。満足な休養も取れずに悶々とした気持ちを抱え、中途半端に試合に出てはことごとく結果を出せず、シード権争いが本格化するフォールシリーズを迎えた時には賞金ランクでシード入りぎりぎりの110位〜120位の間をうろうろ。同ランク上位125名に与えられる来季の出場権を獲得するためには、残りわずかの試合で複数回の上位フィニッシュが必要だった。
賞金シード落ちのプレッシャーがかかる中、今田はその残りわずかの試合で言葉は悪いが“火事場の馬鹿力”を発揮。シーズン終盤のフライズ・ドットコム・オープンとジャスティン・ティンバーレイク・シュライナーズ・ホスピタルズ for チルドレン・オープンで2戦連続トップ10入りを果たし、賞金ランクも最終的に86位へ浮上し米男子ツアーで7年連続となるシード権を確保した。
最近の今田は「ティーショットで飛ぶ選手に80ヤードも100ヤードも置いていかれて、正直面白くないですよ…」と愚痴をこぼすが、そんな中でもゴルフの本場でシードを守り続けていること自体称賛に値する。「夏場はいつも調子が悪い」と語る34歳だが春先は例年調子が良いだけに、2011年はシーズン序盤からスタートダッシュに期待したい。