R.マキロイ、タイガー不在のメジャーで歴史的V!
ウィニングパットを決めた瞬間、ローリー・マキロイ(北アイルランド)は右の拳を小刻みに振るガッツポーズを見せメジャー初勝利を喜んだ。大ギャラリーが見つめた歴史的瞬間。第2次世界大戦以降ではタイガー・ウッズ(米)が1997年にマスターズを制して記録したメジャー最年少V(21歳3か月14日)に次ぐ史上2番目の年少記録(22歳1か月15日)で、マキロイは初日から後続を圧倒し1度もリードを許すことなく完全優勝を成し遂げた。
米男子ツアーの今季メジャー第2戦、全米オープン(メリーランド州、コングレッショナルCC)は現地時間19日、最終ラウンドの競技を終了。2位に8打リードで迎えた最終日、マキロイは大舞台のプレッシャーに押しつぶされることなくほぼ完璧な内容(4バーディ、2ボギー)で2アンダー69をマーク。2000年にタイガーが記録した全米オープンの最少スコア記録を4打塗り替え、通算16アンダーで念願の全米オープンチャンピオンに輝いた。
思えば2か月前のマスターズ。最終日を2位に4打差の単独トップで迎えながら、サンデーバックナインで自滅。10番でティーショットを左に大きく曲げ、雪だるま式にミスを重ねてトリプルボギーを叩く。そこからリーダーボードを転がり落ち15位タイという不本意な結果に終わった。だが今週のマキロイはそのときとは別人。サンデーバックナイン最初の10番パー3では218ヤードを6番アイアンで狙い、高い弾道でピン奥に打球を落とすと、バックスピンと傾斜でボールを戻し、あわやホールインワンかと思わせるスーパーショットを披露。難なくバーディを奪い大ギャラリーを熱狂させた。
危なげないプレーぶりにライバルたちは「異次元のゴルフ」「ほぼ完璧」と賛辞を惜しまない。ポスト・タイガーの旗手と騒がれながら、これまで欧米両ツアーでそれぞれ1勝ずつしか挙げておらず、詰めの甘さを指摘されてきたが、今回ばかりは王道のゴルフ。タイガーや故セベ・バレステロス(スペイン)に匹敵する強烈なカリスマ性を感じさせるマキロイの勝利に、ゴルフ界は新しい時代の到来に興奮気味だ。
そして8打差の単独2位に食い込んだのがマキロイと同世代23歳のジェイソン・デイ(豪)。最終日ノーボギーの3アンダー68で回り、昨年の全米プロゴルフ選手権(10位タイ)、今年のマスターズ(2位タイ)に続くメジャー大会3試合連続トップ10入りを果たした。
その他上位陣は、通算6アンダー3位タイに世界ランク2位のリー・ウェストウッド(英)、マキロイとこの日最終組を回ったY・E・ヤン(韓)、ロバート・ギャリガス(米)らが入り、復調の兆しを見せるセルヒオ・ガルシア(スペイン)が通算5アンダー7位タイ。ちなみにガルシアがメジャー大会でトップ10入りしたのは16回目。また南アのメジャーチャンピオンコンビ、チャール・シュワーツェルとルイス・ウーストハウゼンは通算4アンダーの9位タイで4日間の競技を終えた。
日本勢は石川遼が同大会自己ベストの30位タイに入り、「最終日は60台(68)が出せて、昨日(74)のリベンジが果たせた」とスコアを伸ばしてのフィニッシュ(通算2オーバー)に納得の表情を見せた。日本で行われた予選会を突破して本戦に臨んだ久保谷健一は前半に3連続、中盤に4連続ボギーを叩いて6オーバー77と崩れ、通算13オーバー68位タイの下位に沈んだ。尚、藤田寛之は予選で姿を消している。