初の師弟女王となった森田の激闘
2013年は国内女子ツアー史上、記念すべき年となった。初の“師弟賞金女王”が誕生したからだ。主役はもちろん森田理香子。2008年にプロ入りした23歳の飛ばし屋は、日本と米国で賞金女王(1981年国内女子ツアー、1987年米女子ツアー)の経験を持つ岡本綾子の弟子の1人だ。
シーズン開幕戦のダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメントで、2009年賞金女王・横峯さくらとのプレーオフを制すると、ここから5試合連続でトップ10入りという安定したプレーで序盤戦をぐいぐいと引っ張った。5月の中京テレビ・ブリヂストンレディスオープンで2勝目を挙げると、3試合後のサントリーレディスオープンゴルフトーナメントでも4日間大会を制して3勝目。この頃から賞金女王の声が聞こえ始めた。
だがこの後に失速すると、そこから苦しんだ。中々トップ10入りできないほどに調子を落とし、表情もどんどん硬くなっていった。日本女子オープンゴルフ選手権競技で4位タイとなり、やや元気を取り戻したが、翌週のスタンレーレディスゴルフトーナメント4位タイの後は、またしても思うような結果が出なかった。101試合連続予選通過記録を作った横峯にジワジワと追い上げられ、賞金額の大きいNOBUTA GROUP マスターズGCレディースに勝たれると、一気に肉迫された。
さらに、伊藤園レディスゴルフトーナメントでシーズン4勝目を飾った横峯についに賞金トップの座を逆転されてしまったのだ。だが、逆にこうなると伸び伸びとプレーができる。翌週行われたフルフィールド最終戦の大王製紙エリエールレディスオープンは今年から4日間大会となっており、4日目の最終日に一度は首位の座から転落しながら、師匠の言葉を頭に浮かべて大詰めの17番でおよそ15メートルのイーグルパットをねじ込み、見事にシーズン4勝目を奪取して再びランキング首位に躍り出た。
最終戦LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップの順位次第では横峯に逆転される可能性もあったが、森田は単独12位となり、7位タイに終わった横峯を130万円強の僅差で抑えて初の賞金女王の座に就いた。
23歳の森田には長い長い戦いとなった2013年。末弟子が頂点に立ったことで、表純子、青山加織、服部真夕、若林舞衣子という“チーム岡本”の面々の闘士にも火がついた。一回りも二回りも大きくなった森田を中心に、2014年シーズンは仲間同士の激しい優勝争いがみられる日も少なくないに違いない。