悲願のグリーンジャケット獲得 ダスティン・ジョンソンを振り返り
2020年はダスティン・ジョンソン(米)の年だったと言っても過言ではないだろう。
世界ランク5位で2020年を迎えたジョンソンは、1月の「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」で7位タイに入ると、2月の欧州ツアー「サウジ・インターナショナル」では連覇こそ逃したが単独2位と最高のスタートを切った。
しかし、その後はなかなか上位に入れず、加えて新型コロナウイルスの影響でシーズンが中断されたこともあり、6月発表の世界ランクでは6位に後退。2016年6月以来となるトップ5からの陥落となった。
逆にトップ5から外れたことで火がついたか、6月末の「トラベラーズ選手権」で優勝し、4位に浮上。さらに8月の「全米プロゴルフ選手権」で2位タイ、「ザ・ノーザン・トラスト」の優勝で世界ランク1位に返り咲くと、9月の「ツアー選手権」を制して年間王者に輝いた。
新シーズンに入ってもその勢いは止まらず、「全米オープン」で6位タイ、11月の「ビビント・ヒューストン・オープン」で2位タイと、史上初の11月開催となった「マスターズ」を好調のまま迎えた。
米ツアー公式サイトの優勝予想1位、ブックメーカーでも1位になるなど期待は大。しかし、ジョンソンは20以上の勝利を積み重ねながらもメジャータイトルは「全米オープン」のみ。大舞台には弱いと言われてきたが今回は違った。大会最多アンダーパー(通算20アンダー)記録を更新し圧勝した。
表彰式で見せた涙も印象的だった。
「マスターズでプレーして、グリーンジャケットを着るのは子供の頃は夢見ることだよね。今でも夢じゃないかと考えてしまうけど、そうでないことを願う。タイガー(・ウッズ)に(グリーンジャケットを)着せてもらえるなんて、素晴らしいし信じられないよ。これ以上最高のことはないね」
感情を出さないことで有名なジョンソンがスピーチの場で涙…。オーガスタ・ナショナルGCから車で1時間のところで育ったジョンソンは、ずっとグリーンジャケットを着るというイメージを持ってプロを目指した。実力を考えると夢を叶えるまで時間がかかったかもしれないが、それくらいメジャータイトル、特にマスターズで優勝することは難しいことなのだ。
現在36歳のジョンソン。スケジュール上、今年の「マスターズ」は例年通り4月開催なので、すぐに連覇を目指す形となるが、1回勝つと気が楽になってすんなり連覇を達成することも考えられる。無観客か有観客になるかは分からないが、DJが大会を盛り上げてくれることは間違いないだろう。