2009年メジャーを振り返る 〜全米オープン〜
乳ガンと戦う愛妻に最高のクスリとなる勝利の美酒を届けるべく、フィル・ミケルソン(米)が悲願の優勝に挑んだメジャー第2戦の全米オープン。2009 年の舞台は、有名なパブリックコース、ベスページ・ステートパーク・ブラックC(現地時間6月18〜22日、ニューヨーク州)。期待が集まる第1ラウンドだったが、激しい雨で昼前にサスペンデッドが決定。第1ラウンドの残りと第2ラウンドが続けて行われた翌日も、日没サスペンデッド。3日目にもまた雨に見舞われ、3日連続の順延となった。
そんな難コンディションの中、大健闘を見せたのが初出場の矢野東だ。大会前には「人生で一番難しい」とため息をついていたものの、第2ラウンドを終えたところで暫定ながら4位タイ。残り36ホールに大きな夢をかけた。
大会4日目もサスペンデッドとなったが、この時点で通算7アンダー暫定首位タイに立ったルーカス・グローバー(米)、リッキー・バーンズ(米)の2人はいずれも予選会からの勝ち上がり。苦労して出場権を手に入れた本戦最終ラウンドで優勝争いを繰り広げる。
現地時間22日の月曜日に最終ラウンドを再開。グローバーが3つスコアを落とし、後半は大混戦となったが、バーンズが後退、粘ったミケルソン、デビッド・デュバル(米)と並ぶ2位タイに泣き、29歳のグローバーが忍耐のゴルフで初のメジャータイトルを手に入れた。
妻に優勝を届けたかったミケルソンは、13番のイーグルで一度は単独首位に躍り出たものの15番、17番でボギー。メジャー初優勝の重圧と戦うグローバーを楽にしてしまった。これで全米オープンでは5度目の2位。それでも忍耐強くプレーする姿にファンは喝采を惜しまなかった。
また、ディフェンディング・チャンピオンのタイガー・ウッズ(米)は、尻上がりに順位を上げたものの出遅れが響いて、通算イーブンパー6位タイ。途中、上位で踏ん張っていた矢野は、サスペンデッド続きの中でスコアを崩し、結局通算6オーバー27位タイに終わった。