片山晋呉、未勝利に終わった09年の雪辱なるか?
昨年の片山晋呉は人生最高の瞬間を経験した。ゴルファーなら誰もが憧れるマスターズの舞台で優勝争いを演じ、01年の伊澤利光と並び、日本人最高の4位入賞を果たしたのだ。
パワーゴルフが全盛となり、コース改造で年々距離が長くなるオーガスタで、プレーオフまであと2打と迫ったのだからその達成感たるや言葉には出来ないほどだったに違いない。本人も自身のホームページで「マスターズは子供の時からの夢舞台で、最終日に10番グリーンの横のボードに名前が乗る事を自分の最終目標にしようと考えてここ何年間かやってきました。それが現実になり、達成感があまりにも大きく、なかなかその後、調子や気持ちとも盛り上がらずに終わってしまいました」と認めたほどだ。
本人の言葉通り、国内ツアーでは00年以降毎年2勝以上挙げてきた勝星が、昨年は遂にゼロ。そればかりかトーナメント中にリーダーボードの最上段に名を連ねることもなく、ブリヂストンオープンでの単独3位が最高。マスターズ他海外試合での獲得賞金(6,000万円弱)が加算されるため賞金ランクは4位に入ったが、国内で稼いだ賞金は海外のそれを下回った。これまで5度も賞金王に輝いた男にとっては何とも不本意な結果である。
マスターズでの優勝争いで、果たして片山は燃え尽きてしまったのか? ある意味、それに近いものを本人は味わったに違いない。ホームページのコメントにも「いろいろな方からの励ましがなければ1年乗り切れなかったんじゃないかとつくづく思います」とある。
しかしオフになり未勝利に終わったシーズンを振り返ったとき、片山は改めて「久しぶりに悔しい気持ちが沸々と出てきました」と言う。悔しさをバネに“強い片山晋呉”になると誓った今、彼の視線の先には石川遼から賞金王のタイトルを奪還し、ナンバー1を奪還するという目標が見えているはずだ。強いベテランの存在があってこそ、若手も輝くもの。今年は片山の完全復活に期待したい。