多くの人に愛された「最高のゴルフ人生」 宮里藍を振り返り
その知らせが飛び込んできたのは5月26日のこと。国内14勝、米9勝で元世界ランキング1位の宮里藍が、2017シーズン限りで現役を引退すると所属事務所が発表した。
引退会見には約300人の報道関係者が詰めかけた。そこで宮里は「モチベーションが戻ってこないことには自分とは向き合えないし、トレーニングで追い込むことができなくなっていた。プロである以上は結果を残したいし、自分の理想としている姿はそこにはなかったので、このような形となった」と、引退の決断に至るまでの気持ちを語った。
確かに2012年を最後に勝利から遠ざかっており、今季も米ツアーでは会見までの5戦で最高位は34位タイと上位に食い込めずにいたことは否めない。それでも31歳(当時)での突然の引退発表に、ともに女子ゴルフ人気を支えてきた戦友の横峯さくらもブログで「すごくビックリし、時間が経つにつれて寂しさがこみ上げてきました」とコメントした。
引退までの試合はすべて「ラストの」の冠で飾られた。国内最終戦となったサントリーレディスでは総計3万4,750人(大会最多)のギャラリーがプレーヤー・宮里との別れを惜しんだ。米ツアーに戻ってからはメジャー3戦を含む7試合に出場。“ラスト2”として臨んだポートランド・クラシックでは今季初のトップ5入りを果たした。
そしてやってきた現役最終戦のエビアン選手権。最終日、18番には親友のポーラ・クリーマー(米)、ヤニ・ツェン(台)も駆けつける中で1メートル強のパットを沈めてパーセーブ。多くの歓声に目を潤ませながら14年の現役生活に別れを告げた。
大会の最中にはサプライズもあった。第2ラウンドのスタート前にLPGAスタッフが「Ai WILL MISS YOU!(藍がいなくなると寂しい)」と書かれた横断幕を持った写真をインスタグラムに掲載。選手、ファンのみならず誰からも愛されたプレーヤーだった。
12月初めにはイベントで久しぶりに公の場に姿を見せた宮里。「期間限定ではありますけど、今は無職を楽しんでいます」と語っていたが、五輪代表コーチ就任の話など、ゴルフ界が彼女を放っておかないだろう。それでも今は女子ゴルフ人気を牽引し続けたパイオニアにつかの間の休息を願う。本当にお疲れ様でした、藍ちゃん!
(写真提供:Getty Images)