気になる「NEW TB-5 FORGED」アイアンの実力をHC10のアマとプロコーチが確かめてみた【後編】
2024年11月8日にフォーティーンから発売された「NEW TB-5 FORGED(フォージド)アイアン」。前回はヘッドスピード40m/s、ハンディキャップ(HC)10のアマチュアの試打をお届けしましたが、今回は学芸大ゴルフスタジオの兼濱開人ヘッドコーチによる試打レビューに加え、HC10の筆者がコースで試してきた感想を併せてお届けします。
試打は兼濱コーチが主宰するインドアレッスンスタジオ、学芸大ゴルフスタジオで行いました。トラックマンやGC4といった最新の弾道測定器を完備するスタジオです。
まずクラブを構えてからの第一声から「カッコいい。所有感がある」と好評価。
さらに、「やんわりとグースは入っているが、そこまでつかまりそうな感じはしない。嫌なつかまり方はしなさそう。機能的にはやさしいはずだが、見た感じはシャープなので、これなら上級者でも使えそう」と、打つ前から期待十分です。
そして最初の一発を打った後に、驚きの感想が!
「マットの上からなので定かではないのですが、リーディングエッジが刺さりにくそうな感じがします」
実はこの日、旧モデルも持参して比較もしてもらおうと思っていたのですが、まさか1球目から「答え」が出てしまいました。
そこで、改めて旧モデルも見せて、その違いについて聞くと、「顔には大きな違いはありません。新モデルを先に打って『抜け感』を感じてしまった後に打つと、旧モデルは少し刺さりそうな感じがします。抜けが良くなった分、新モデルは打感が軽く、シャープに感じる」とのこと。
再び新モデルに持ち替えて、インプレッションを聞いていきます。
「こういう言い方が適切かは分かりませんが、1990年代頃の、元気があった頃の国産ブランドのアイアンのようなイメージがあります。その頃の良さを感じると言うか、僕が小学生くらいの頃に憧れていたクラブたちの面影があります。バックフェースのデザインは近未来的なのですが。
で、実際に構えてみると、つかまりそうな雰囲気はあるが、面の向きがキレイで、そこまでつかまらなさそうなのがまた良いです。私は、アドレス時にターゲットに面を合わせることを重視しているのですが、それがしやすいです。そして実際に打ってみると、さっきも言いましたが、ソールが刺さらないです」
操作性についても聞いてみました。
「球は旧モデルよりも上がりやすく感じました。日本のコーライ芝と相性がいいはずです。見た目はシャープなのですが、フェース長があるのでフェースの向きを感じやすくなっています。なので、スイング中にフェースコントロールがしやすいです。
ただし、フェース長が長い分、真っすぐは打ちやすいけど、そこまで左右に曲げたりはしづらいかな。個人的には、このくらいフェース長があったほうが、ユーティリティやフェアウェイウッドとのつながりが良くなると思います」
確かに、アイアンを選ぶときにセット全体の流れのことを考えるのも大事ですよね。では、このアイアンはどんな人におすすめですか?
「初心者セットでゴルフを続けてきて、ちょっと物足りなくなってきた人。初心者セットを卒業して、さらに上達を目指したい人におすすめですね」
スチール、カーボンと用意されている純正シャフトについても聞きました。
「純正のスチールシャフト(FS-90i)は、僕には柔らかいけど、先端が走ってボールを上げてくれそう。スチールシャフトの、いい意味での『ボワンボワン感』が出ています。クラブに仕事をさせたい人向けかな。
一方、純正のカーボンシャフト(FT-70i)は、70グラム台の割にはしっかりしています。同じ重量帯でスチールにすると、たぶんこのしっかり感は出ないので、軽いシャフトでしっかり振りたい人、クラブよりも自分が仕事をしたい人向けです。球はカーボンシャフトのほうが上がりやすいです」
最後に、ドライバーのヘッドスピードが45~46m/sの兼濱コーチに、全番手打ってもらって飛距離を計測しました。
各番手のナイスショット時のキャリー飛距離(左)とトータル飛距離(右)は以下のようになりました(計測にはトラックマンを使用)。
PW 125ヤード 128ヤード
9I 140ヤード 147ヤード
8I 155ヤード 162ヤード
7I 170ヤード 178ヤード
6I 185ヤード 200ヤード
5I 195ヤード 210ヤード
キャリーの飛距離の階段が10~15ヤード間隔できれいにできていました。
試打中、何度も「いいっすね」を連発して、試打後半にはポツリと「わかってきたこのアイアン、好きかも」とつぶやいていた兼濱コーチ。相当気に入ったようです。
ところで、1球目から「抜けがいい」と喝破した兼濱コーチでしたが、前回書いた通り、マット上の試打ではその抜けの良さを感じることができなかった筆者。後日、コースへと持ち出してみました。
実際に芝の上から打ってみると、マットの上から打つよりも打感は柔らかく感じました。
緩やかなダウンブローで打つと、確かに芝の上をソールが突っかからず、クラブヘッドが真っすぐ進んでいくような感覚がありました。
そしてやはり、特筆すべきはダフったとき。
いつもなら、手に「ドンッ」という重たい地面の感触が伝わり、「刺さった!」と感じるような厚めの当たりでも、そのままヘッドがターゲット方向へ抜けていってくれました。
同社の「TKウェッジ」のタンクソールとまでは言いませんが、リーディングエッジのわずかな丸みが大きな効果を生んでいることを体感できました。
また、すっきりした見た目だけど意外とフェースが大きく重心距離が長いため、程よくつかまりながら、ソール性能と相まって直進性は高いです。
単一素材のアイアンにもかかわらず、芯の広さも感じました。
135ヤードのパー3で、8番アイアンでショットしました。本人的にはかなりトウ寄りに外したミスショットだったのですが、そこまで飛距離が落ちず、しっかりとグリーンをキャッチしてくれました。「これはやさしい。ずるい!」と思いました。
2回にわたって、HC10のアマチュアとプロコーチによるNEW TB-5アイアンのレビューをお届けしました。
初心者を卒業し、これからさらに上達を目指そうというゴルファーや、少し力が衰えてきたからもう少し楽にゴルフがしたい、でもシャープな見た目も欲しいという上級者におすすめできるアイアンなのではないでしょうか。
気になった方は、ぜひショップやレンタルで試打をしてみてください。
■兼濱開人(かねはま・かいと)
1990年9月11日生。沖縄県出身。学芸大ゴルフスタジオヘッドコーチ。森守洋コーチの一番弟子と呼ばれ、各界著名人や経営者などから信頼を集めている。「クラブが主役」を合言葉に、シンプルなスイングづくりをレッスンでは心掛けている。
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