AR GOLF、30インチのショートパット専用モデルが登場 バッグに2本のパターを入れる時代が来る?
my caddie編集部です。
先日、東京・恵比寿にある「AR GOLF(アールゴルフ)」のスタジオで発表会が開かれ、ショートパット専門機といえるような30インチのパター「Short Roll 30(ショートロール)」が発表されました。
ゴルフでスコアを安定させるためには、ショートパットを外さないことが重要です。特に約1.2メートル(4フィート)の距離は一見簡単に見えますが、多くのゴルファーにとっては落とし穴のような存在ですよね。短いからこそ外してしまった時の精神的なダメージは大きく、これが原因でイップスに陥ってしまう人も少なくありません。
こうしたショートパットの悩みに向き合い、解決策を提案しているのがフランス生まれのメーカー「AR GOLF」です。同社が提唱する「Short Roll Method(ショートロールメソッド)」と、その理論に基づいて設計された専用パター「Short Roll 30」には、4モデル(Perceval Plus、Gauvain、Lancelot Plus、Pendragon MINI)が用意されています。
このメソッドを理解するうえで、例えとして紹介されたのが、野球のバントです。バントは、バットでボールを強く打つのではなく、優しく当ててコントロールよく転がす技術です。まさに、ショートパットで必要とされる繊細な動きとそっくりなのです。
この繊細なコントロールを支えるカギとなるのが「スプリットグリップ」と呼ばれる握り方です。15インチのロンググリップを左右の手で少し離して握ることで、利き手がパターのバランス点(釣り合い点)近くを直接握れるようにします。これにより、手の感覚を最大限に生かしてヘッドをコントロールでき、フェースの開閉も±0.5度以内に収められるほど安定するそうです。
また、この30インチの短尺パターは、通常のパターより短く、構えた時に自然と背中が地面に近くなり、目線もボールから離れやすくなります。実際に「ボールを見ずにカップだけを見て打ってみましょう」ということで筆者も試してみました。慣れは必要ですが、目標物を見ながらやるダーツや輪投げのような感覚で、自然な動きでストロークができるかなと思いました。
さらに、ストロークは手の力で振るのではなく、腕とパターの重さを利用した振り子のような動きが基本。この動作により、余分な力が入りづらく、自然で滑らかなパットが打てるようになるんです。
パターを握る時は、習字で筆を持つように、親指・人差し指・中指の3本を使ってシャフトをつまむようにします。こうすることで、指先の繊細な感覚がヘッドの動きに直結し、コントロール性能が格段に高まるといいます。
このメソッドは特に3メートル以内のショートパットに最適で、5メートル以上のパットにはスプリット幅を徐々に狭めていくことで対応します。なぜなら、あくまでこの打ち方はバントであり、飛距離を求める打ち方ではないからです。
AR GOLFでは、30インチパターのほかに37〜45インチの「Gravity Touch Roll」などもあり、体格や姿勢、腰への負担を考慮したラインナップも充実。また、可動式グリーン「BIGTILT WAVE」を備えた専用スタジオでは、マンツーマンのフィッティングや試打もでき、自分にぴったりのパターを見つけるためのサポート体制が整っています。
最後に、パッティングの重要性を示すデータについて。AR GOLFによると、ゴルフのスコアのうち約43%がパッティングによるもの。つまり、パットが上達すれば、スコア全体が大きく改善する可能性があるのです。特にショートパットが安定することで、3パットの不安が減り、アプローチやティーショットにも自信が持てるようになります。
これまで「パターは1本だけ」というのが常識でしたが、これからはショートパット専用パターをもう1本持つという新しい選択肢も考えられます。ショートロールメソッドとショートロール30は、そんな新しいゴルフの可能性を開く第一歩となるでしょう。