女子プロ予備軍・澄川愛さんが語る「本当に感じた」ゴルフグリップの世界 最新エラストマーグリップインプレッション
my caddie編集部です。
今回は、最新エラストマーグリップの中から注目のグリップブランド「wellmxs(ウェルミックス)」と「STM(エスティーエム)」を女子プロ予備軍・澄川愛(以下、澄川)さんが試打インプレッションに挑み、指南役にティーチングプロ・フィッター・ライターとして幅広く活動する筒康博さん(以下、筒)が登場。
my caddieユーザーの多くが気になる“数値では測れない感覚”の違いに着目し、素材・構造・打感・フィーリングのすべてを深掘り。本音で語り尽くした注目対談をお届けします。
今回試打したすべてのグリップには「エラストマー」素材が使用されている。これはゴムのような弾性を持ちつつも、耐久性と耐候性に優れた高分子素材。滑りにくく、しっかりとしたフィット感を持続することから、多くのゴルファーに支持されています。
澄川「今までグリップを選ぶ際、最初に握ったとき、正直どれが良いかなんて分からなかったです。でも“嫌な感じ”だけはすぐ分かります」
筒「それが大事。まず“ダメなやつ”を除外していくこと。好きなものを選ぶのではなく、“合わない”を排除していくと自然と好みが見えてきます」
wellmxsは、韓国発のエラストマー専門ゴルフグリップブランドです。気温や湿度の変化に強く、雨天や冬場でも安定したホールド感を発揮します。特に“吸い付くようなフィット感”と“軽量・高耐久設計”が特長で、デザイン性も高く、機能性とファッション性の両立を目指した製品づくりに定評があります。
・やや硬めで、独自のエラストマー配合により手に吸い付くようなグリップ感を実現。
・高温多湿でも滑りにくく、ペタペタとした密着感が特に冬場の乾燥時に威力を発揮。
澄川「ちょっと硬いかなと思ったんですけど、実際に打ってみると意外と安心感がありました。冬の練習場でもしっかりホールドできそうですし、この白×ピンクのツートンカラーも見た目が可愛くて気に入りました」
・中間硬度のエラストマーを採用し、手に馴染むしなやかさとホールド感を両立。
・やや細身の設計で、右手の過剰な動きを自然に抑えるコントロール性能が魅力。
澄川「右手が暴れなくて良い。細すぎるグリップって右手が勝手に動いちゃうけど、これは抑えてくれる。手元側が少し盛り上がっていて、先が凹んでるので、その形状が自然に力を分散させてくれてるのかもしれませんね」
・ソフトで軽快な握り心地に加え、適度な弾力性がスイング中の安心感を提供。
・軽量設計によりヘッドスピードへの影響を最小限に抑え、ビジュアルも明るくポジティブな印象を演出。
澄川「軽いのにしっかり感があるのが意外でした。カラーも気分が上がるし、ラウンドで使ってみたくなるデザインです。」
STMは、プロユースに応えるために開発された高性能グリップブランドです。グリッププレッシャーや振動への反応といった“感覚の精度”を重視して設計されており、トルク管理や振動吸収性能に優れるだけでなく、過酷なコンディションでも変わらぬ操作性と耐久性を発揮します。グリップを通じてシャフトやヘッドの挙動を明確に伝えてくれる一体感のあるフィーリングが、多くのツアープロや上級者から高い信頼を得ています。
・シンプルな見た目ながら高いトルク安定性と打感フィードバック。
・手に吸い付くようなフィット感。
澄川「意外と良かったです。見た目はすごくシンプルで、手にしっくりこなさそうと思っていたんですけど、握ってみると驚くほど滑りにくくて、冬場のコンディションでも安心して使える感じでした。グローブ越しでもしっかり感が伝わってきました」
・高密度エラストマー構造。
・やや硬めでシャープなスイングをサポート。
澄川「G-Sevenと同様に、握った瞬間に手にフィットする感じがあって、グリップの密着性に驚きました。硬めなのに変な反発がなく、シャープな振り心地をそのまま活かせる気がします。寒い日でも手の中でブレる感じがしないのはありがたいですね」
・ツルっとした表面。
・繊細なタッチを求めるプレーヤーに。
澄川「インパクトの振動が直接つたわってくる感じがしました。ツルツルした表面だからこそ、手のひらにダイレクトに感触が返ってきて、ちょっとでも芯を外すとすぐに分かる。その分、繊細なコントロールや感覚重視のプレーヤーには向いていると思います」
・指先に感じる凹凸と絶妙な硬度。
・重厚感あるスイングに適した設計。
澄川「星柄の凹凸が最初は少し気になったけど、慣れてくると逆に指がしっかり収まる感じがしました。スイング中のブレを抑えてくれる安心感があって、見た目の個性だけじゃなく実用性も高いと感じました」
筒「星柄の凹凸が感じられないとトップの位置が安定しないんですよね。フィーリングが決まるから、安心して振り抜けます」
打ち比べの結果、澄川さんは「滑らず、柔らかすぎず、指が違和感なく馴染む」wellmxsとSTMの中間モデルに好感触。また、筒さんは「シャフトが硬いなら、グリップもある程度しっかりしていないと情報が伝わらない。柔らかすぎても曖昧になっちゃうんですよ」。
澄川「私は中学生からインターロッキング派。手が小さいので自然とそうなりました。オーバーラッピングだと安定感がなくて…」
筒「僕はテンフィンガーで握るタイプで、小指側から得られる感覚を特に重視しています。左手側ではフェースの感覚を取りづらいからこそ、クラブとの接点であるグリップが“邪魔してこない”ことが大事。たとえば、フェース面の感覚と実際の弾道がズレるような違和感を感じるグリップは、絶対に選びません。グリップは、シャフトのフィールを壊さずに情報を正確に伝えてくれる存在であってほしいんです」
澄川「試合中って、細かいことは考えてないんです。だから“気に入ってる”っていう安心感が一番効いてきます」
筒「“滑る・硬い・手に馴染まない”など、ネガティブな感覚は誰でもすぐ分かる。言語化する必要はないけど、“なんか嫌だ”という感覚を大切にしてほしい。グリップ選びにおいては、“良い”を探すより“嫌なもの”を排除することが近道。そうすれば自然と自分に合う一本が残ります」
グリップは、スイングで唯一手と接する重要なパーツです。どれだけ良いクラブでも、グリップが合っていなければその性能を十分に引き出すことはできません。グリップ選びに正解はありませんが、「これは違うな」と思える感覚こそが、自分にとって最適な一本に出会う第一歩です。my caddieでは、今後もグリップ選びの重要性と、その魅力を伝えていきます。これを機に、ご自身の感覚に合ったグリップを見つけてみませんか?
澄川愛さん
女子プロゴルファーを目指し研鑽を積む注目の若手。競技経験も豊富で、ツアーを視野に入れた本格的なトレーニングを行う一方、スイング理論やギアへの感度も高く、特にグリップや打感に対するフィーリングには鋭い感覚を持つ。
筒康博さん
インドアゴルフレンジKz亀戸店ヘッドティーチャーを務める傍ら、クラブフィッター、ゴルフライターとしても活動するマルチなギアスペシャリスト。これまで数多くのゴルファーのスイング改善とクラブセッティングをサポートし、理論と感覚の両面からアドバイスできる稀有な存在。
■取材協力
INDOOR GOLF GARDEN 6 ASAKUSA