ドライバーに鉛を貼って飛距離アップ!効果的な調整方法を解説
ドライバーに鉛を貼ってバランスを調整しているゴルファーを見かけることがありますが、「それはプロや上級者がやるもの」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
また、鉛を貼ることでどのようなメリットがあるのか、よく分からないという方もいらっしゃるでしょう。しかし、実際には、鉛によるバランス調整には大きなメリットがあり、それを知らないのは少しもったいないことかもしれません。
そこで本記事では、ドライバーに鉛を貼ることで得られるメリットと、その具体的な貼り方について、わかりやすくご紹介します。
市販のドライバーは量産品であるため、自分のスイングに合っているように感じても、必ずしもベストな状態とは限りません。実際、ツアープロでさえ鉛を貼ってバランスを調整しており、その調整によって自分に最適なクラブに仕上げています。
鉛の重さはわずか数グラムですが、ドライバーに貼ることで飛距離アップや、スライスやフックの抑制といった効果が期待できます。
ドライバーに鉛を貼る目的は、ヘッドを重くすることではありません。鉛を貼る位置によって打ち出し角度の改善やスライス、フックを抑制する効果があります。
鉛を貼る位置は調整したい球筋によってソールのセンター、バックセンター、ヒール側、トゥ側などになります。ここでは、改善したい球筋によって鉛を貼る適正な位置をご紹介します。
ドライバーショットで飛距離が落ちる原因の一つにスライスがあります。ボールにスライス回転がかかると、空気抵抗が増えて飛距離が伸びにくくなり、ランも出にくいため、結果的に飛距離が落ちてしまいます。また、スライスは風に弱いため、アゲインスト時には一層飛距離が出ません。
そのため、スライサー向けのドライバーも市販されており、多くはヘッドのヒール側の重量を重くすることでスライスを抑制しています。
同様に、スライス回転が多い方は、ドライバーのソールのヒール側に鉛を貼って重さを調整することで、スイング中にヘッドが返りやすくなり、球のつかまりが良くなるため、スライスの抑制に効果的です。鉛を貼る位置は、ヒール寄りであればあるほど、その効果が大きくなります。
また、ソールの後方に鉛を貼ると、スイング軌道がアッパー軌道になりやすくなります。アッパースイングになると、ボールがつかまりやすくなり、スライスも出にくくなります。
なお、鉛を貼る際の注意点としては、必ずドライバーのソール部分に貼ることです。ヘッドの上部に貼ってしまうと、重心が上がってしまい、弾道が低くなる原因となるため注意が必要です。
フックはボールが上がりにくいため飛距離のロスになります。また、チーピンといわれる左に強く曲がるボールが出ると、トラブルになる場合があります。
フックボールを抑制するには、トゥ側に鉛を貼ることで、重心角が小さくなるのでヘッドが返りにくくなり、フックを抑えるには効果的です。また、ボールが上がりにくい場合はトゥ側のやや後方に鉛を貼ることで重心が深くなり弾道が高くなります。
ドライバーで飛距離を伸ばすための要素の一つに、「打ち出し角度を上げること」が挙げられます。打ち出し角が低いとキャリーが伸びにくくなり、結果として飛距離アップの妨げになってしまいます。
打ち出し角が低くなる原因としては、ロフト角が合っていないケースが考えられます。その場合、よりロフト角の大きいクラブに買い替えるのも一つの方法ですが、金銭的な負担が大きくなる点がネックです。また、ヘッドスピードが不足しているゴルファーも、打ち出し角が自然と低くなりがちです。
こうした場合には、ドライバーのソール後方中央に鉛を貼ることで、打ち出し角を改善し、飛距離アップにつなげることが可能です。
ドライバーショットでボールの適正なバックスピン量は2,500rpm回転前後といわれていますが、多くのアマチュアのバックスピン量は3,000rpm以上になってしまう傾向にあります。
ドライバーを打った際に、ボールにバックスピンがかかりすぎると、吹き上って飛距離をロスしてしまいます。このような場合、ドライバーに鉛を貼って調整するのが効果的です。
バックスピン量は、鉛を貼ってドライバーのヘッドを低重心化・浅重心化にすることで減らすことができます。鉛を貼る位置は、ドライバーのソールのフェース寄りのセンターです。この位置に貼ることで重心を低く・浅くできます。
ドライバーに鉛を貼る位置はクラブヘッドばかりではなく、シャフトにも貼ることができます。シャフトに鉛を貼る方法はアイアンに有効なセッティングですが、ドライバーにも効果があります。
ドライバーのシャフトに鉛を貼ると、ドライバーの重量が重くなるためスイングの軌道が安定するので、ボールを安定的に飛ばすことが可能。また、ドライバーのヘッドが重く感じている方は、シャフトに鉛を貼ることでヘッドが軽く感じられて、しっかりスイングができるので、飛距離アップにつながります。
ドライバーのシャフトに鉛を貼る場合、グリップの真下に巻き付けるのが一般的です。貼る時には鉛の重なりや隙間ができないように調整しなければなりません。鉛が重すぎた場合にはハサミやカッターで切り取ります。短くて隙間ができる場合には、ヘラなどで鉛を押し潰して隙間を埋めましょう。
また、複数枚貼る場合には、同じところに重ねるのではなく、ヘッド側に隙間が生まれないように貼りつけましょう。シャフト用の鉛は種類がいくつかありますので、調整しやすい重さの鉛を選びましょう。
ドライバーを自分で簡単にチューニングできるのが、ヘッドに鉛を貼る方法です。鉛を貼るだけで、ドライバーを振った時の感覚が大きく違ってきたり、球筋やショットが変わってくることがあります。
鉛を貼るコツは、最初はある程度重くしてから徐々に軽くしていくと簡単に調整ができます。鉛は簡単にはがれるので、調整するところにやや重めに貼って少しずつ剥がしていきましょう。
ドライバーのソールの面積は大きいので、鉛を貼ろうと思えばたくさん貼ることができます。しかし、鉛は貼りすぎるとクラブの特性も変わってしまいます。
ドライバーに鉛を貼る時には適正な重さがあります。鉛は簡単にはがせるので、重さの目安としては2gを貼って少しずつ調整していくのがおすすめです。また、シャフトに鉛を貼る場合には5gを目安にして徐々に重くしていきましょう。
鉛はラウンド中には貼ったり剥がしたりできないので、練習場で重さの影響を確認しながら調整していきましょう。
ドライバーに鉛を貼ることで簡単にチェーンナップができますが、どこに貼っても良いわけではありません。また、クラブが不適合になる場合があるので注意が必要です。ここでは、ドライバーに鉛を貼る時の注意点をご紹介します。
ドライバーに鉛を貼ること自体はルール違反ではありませんが、クラブフェースに鉛を貼るとルール違反になるので、貼る位置はバックフェースまたはソールになります。
また、ラウンド中に鉛を貼ったり、剥がして重さの調整をすることもルール違反になります。ラウンドの途中に剥がれ落ちた場合はそのままプレーするか、まったく同じグラム数のものを使って修理するのはOKです。
R&A(全英ゴルフ協会)とUSGA(全米ゴルフ協会)による2019年1月1日のルール改訂に伴い、「用具規則」も大きく変更されました。それまでは、クラブのフェース以外の部分であれば、シャフトを含めて、重量やバランスを調整する目的で鉛を貼ることは問題ありませんでした。
ルール改訂後は、ドライバーヘッドの慣性モーメント(MOI)が、その重量や重心位置の変化によって影響を受けるため、重量調整機能が搭載されたドライバーは、すべてのウェイト位置において「用具規則」に適合していなければならないと定められています。つまり、ネジ式ウェイトの位置変更や、それによる慣性モーメントの変化も、すべてルールの範囲内でなければならないということです。
また、ドライバーに鉛などを追加して重量調整を行う場合も、そのクラブ全体の慣性モーメントが規定の制限内に収まっていなければなりません。近年のドライバーは、反発係数や慣性モーメントの数値がルールの上限ギリギリで設計されていることが多いため、たった2gの鉛を貼っただけでもルール不適合になる可能性があります。
他の番手(フェアウェイウッドやアイアンなど)に鉛を貼ることは基本的に問題ありませんが、ドライバーに鉛を貼る際は、特に慎重になる必要があるということです。
用具規則:(公財)日本ゴルフ協会ドライバーに鉛を貼る効果やその貼り方についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。 プロゴルファーの多くは、鉛による微調整をセッティングの一環として活用しています。アマチュアゴルファーでも、上手に取り入れることでスライスやフックによる飛距離ロスを抑えたり、高弾道による飛距離アップが期待できたりします。
このように、鉛を使った調整は非常に有効なテクニックのひとつです。ぜひご自身のスイングに合わせて鉛を活用し、ドライバーの飛距離アップを目指してみてください。