ライ角と手元高さと三角関数
先日はトウダウンの件でお恥ずかしい間違いをしてしまいました。新浦技研さんのコメントに乗っかって、三角関数を使ってライ角と手元の高さについて考えてみました。
今回の書き込みの発端は「ライ角って本当は何度がいいの?」という疑問からでした。USPGAのブライソン・デシャンボーは超アップライトなワンレングスアイアン(ライ角は以前は69度で今は73度?)で腕とシャフトがほぼ一直線で、その直線をプレーンとしてスイングしています。これで関節に負担がないとするなら市販のクラブがすでにライ角が決まっていて、それに合わせたアドレス/スイングに自然になっていっただけだったりして、と。
右打ちの人のアドレスをターゲット方向から見ると、グリップとヘッドとを結んだ線(便宜上クラブ全長とします)、そしてグリップから地面に垂直に下ろした線、そこからヘッドまでの線、で直角三角形ができます。グリップエンドの地面からの高さ(便宜上手元高さとします)はシャフト長さ(2.54をかけてcmに変換)×sin(ライ角)で求められます。
つかまりをライ角で補正していなさそうなアスリート向けのもので計算すると、
SRIXON Z585ドライバー 45.25インチ58度 手元高さ97.5cm
Z F85フェアウェイウッド 7W 42インチ60.5度 92.8cm
Z585アイアン 5番 38インチ61度 84.4cm
Z585アイアン PW 35.5インチ63.5度 80.7cm
このままだとドライバーとPWの手元高さが17cmも違いますが、おそらくトウダウンの差で相殺になります。もっとフラットに構えてフラットに振り、トウダウンを加味するとヘッドが地面と平行でインパクトすると考えられます。
ドライバーでsin(47.5度)でやっと84.7cmになりますので、手元の高さを同じくらいにするにはインパクトライ角は47.5度にならないといけません。設計ライ角が58度なら10.5度のトウダウン。同様に42インチの7Wだとインパクトライ角は52.5度(8度トウダウン)で手元高さ84.6cmになります。
もちろん手元高さが同じでも、短いクラブと長いクラブではハンドダウンの度合いが変わってきますので違和感が出るはずです。インパクトライ角47.5度と便宜上トウダウンゼロにした5番アイアンの61度では、ハンドダウンの角度も13.5度以下にはなるでしょうけどそこそこ違いが出てくるでしょう。
ついでに35.5インチのPWで2度ライ角調整をしたら手元の高さがどうなるか計算してみます。先ほどのスリクソンの標準63.5度だと80.7cm、61.5度に寝かせると79.2cm、65.5度に立てると82.1cmとなります。今までのことを考えると手元が1.5cm上下にずれるくらいは許容範囲でしょうか。PWなんて5Iより手元が4cm弱低くなるわけですし。
こんな風に考えると(上記の計算が正しければですが)、実際我々は手元高さ、ハンドダウンの角度をそこそこ変化させてアドレスしているということでしょうか。そしておそらくスイングプレーンも自然に傾きが変わっているのでしょう。これ結構番手間で球筋の差が出る原因になりそうです。
スイングプレーンの角度が番手によって変わることを前提とすると、おそらく出球が左右にぶれるのはライ角それ自体より他の要因が大きいように思えます。構えた時に違和感があってそれでスイングが変化するとか、かなりトウが浮いた状態でインパクトするとか、軽すぎて振り遅れの反対が起きているとか(この場合ヘッドに鉛を数グラム貼ると改善します)。
以上、長々と机上の空論を書いてみました。三角関数は仕事では使っておりませんので、計算間違いとか考え間違いがあるかもしれませんのでご指摘いただければと思います。