中村英美プロが体験!ミズノの新フィッティングツール「SET OPTIMIZER」のすごさとは?
ミズノは2001年からゴルフクラブのフィッティングサービスを展開し、「No.1フィッティングカンパニー」を目指してきた。その中核を担ってきたのが、独自開発のフィッティングツール「シャフトオプティマイザー」シリーズである。
2017年に登場した「シャフトオプティマイザー3D」は、セイコーエプソンのセンシング技術を活用し、わずか3球の試打でゴルファーのスイング特性を科学的に数値化する画期的なツールとして注目を集めた。国内25万件、全世界60万件以上のフィッティングデータを蓄積し、ミズノのフィッティングを大きく前進させてきた。
そして2025年10月、その後継機となる「SET OPTIMIZER(セットオプティマイザー)」が発表された。同年12月23日より全国451店舗のミズノゴルフカスタムフィッティングショップで開始となったこの新ツールは、従来機と比べて何が変わったのか。
今回は、その進化のポイントを整理しながら、実際にフィッティングを体験したPGAティーチングプロA級・中村英美プロのコメントを交えて、セットオプティマイザーの魅力を体験レポートとして紹介する。
シャフトオプティマイザー3Dから進化したセットオプティマイザー。その大きな違いは、計測できるクラブの範囲である。従来機はアイアンの実測データを軸にしており、ドライバーやウェッジの推奨スペックはそのデータをもとに推定で導き出す仕組みが基本だった。
これに対し、今回のセットオプティマイザーは、ドライバー、アイアン、ウェッジをそれぞれ実際に打ちながら測定できる。つまり、従来は「アイアンの実測データからセット全体を推定する」仕組みだったのに対し、新作では「各クラブを実測しながらセット全体を最適化する」仕組みへと進化したのである。
計測項目も9項目(ヘッドスピード・スイングテンポ・トゥダウン・前反り角・しなり係数・インパクトライ角・シャフトリーン角・アタック角・フェーストゥパス角)から10項目へと増え、新たに「ローテーション率」が追加された。これにより、スイング中のフェースの回転動作やタイミングまで、より細かく把握できるようになった。
また、センサーは前作より約35グラム軽量化されている。これによって装着時の違和感が減り、より普段に近いスイングで計測しやすくなった点も見逃せない。
さらに、ウェッジは「30ヤードを想定したアプローチショット」を実打計測できるようになった。ドライバーやアイアンとは異なる繊細な動きが求められるウェッジを独立して測れる意義は大きい。なお、ウェッジフィッティングの実打計測対応は現時点では一部店舗のみとなっている。
従来機は、7番アイアンによる実打計測を軸にしていた。ドライバーやウェッジの推奨値は、そのアイアンデータをもとにシミュレーションで算出していたため、効率の良いフィッティングではあったものの、クラブごとの実際の動きまで直接測るものではなかった。
一方、セットオプティマイザーでは、ドライバー・アイアン・ウェッジをそれぞれ専用シャフトで実測できる。これにより、クラブごとに異なるスイングの特徴を、より正確に把握できるようになった。
特に注目したいのはウェッジの測定。30ヤードを想定したアプローチショットを実際に打って計測することで、コースでの使用感に近い形でフィッティングができる。フルショットとは異なるテンポや振り幅が求められるウェッジにおいて、この違いは大きい。
実際にフィッティングを体験した中村プロがまず口にしたのは、これまでにない新鮮さだった。
「今までにない感じがして、すごく面白かったです。これまでは入射角などの細かいデータを見ることが多かったのですが、今回は自分のタイミングのようなものまで分かるのが新鮮でした。こういうことが分かるのは初めてだったので、とても良かったです」
一般的なフィッティングでは、ヘッドスピードや入射角、ライ角といった数値が中心になりやすかった。一方、ミズノのフィッティングは、スイングの結果だけでなく、その人がどのようなリズムやタイミングでクラブを動かしているかまで捉えようとしている点に特徴がある。中村プロが感じた「今までにない感じ」とは、まさにこの部分にあるのだろう。
さらに、中村プロは「タイミングのようなものは、自分の感触では分かると思いますが、それが実際に見える形でデータになるのはすごいと思いました。一般の方でも、自分がどういうタイプなのか分かるので、とても良いと思います」と話す。
自分では何となく分かっているつもりの感覚が、客観的なデータとして可視化される。そこに、この新しいフィッティングツールの大きな価値がある。
今回の進化を語るうえで重要なのが、新たに加わった「ローテーション率」という指標である。
これは単なるフェースの開閉量ではなく、リストターンに加えて、シャフト全体のしなりや挙動まで含めた「回転の質」を数値化した、ミズノ独自の指標だ。
簡単にいえば、フェースがどれくらい回るかだけでなく、「いつ・どんな動きで回るのか」まで分かるということだ。
こうしたローテーション率を含む複数のデータから見えてくるのは、「その日の調子」ではなく、「その人本来のスイングの特徴」である。だからこそ、一度把握すればクラブ選びの軸として長く活用できる。
さらに中村プロは、レッスンの現場という視点からこう語る。
「皆さんはフィッティングに偏見といいますか、『上手くなってからじゃないとダメ』『調子が良い時じゃないとダメ』とか、意外とそういうところがあります。ただ、指標となるものを知っておけば、例えば、フィッティングを受けずにクラブを買う時に、間違えないというか、真逆なクラブを選ぶことはないのかなと思いました。
もちろん、レッスンでは動きを見て判断することはできますが、その人のタイミングそのものまでは分からないこともあります。もしクラブが合っていなければ、直そうとしても難しい場合があります。そういう意味でも、こうしたデータが分かるのはとても良いと思います」
セットオプティマイザーは、単なるフィッティングツールにとどまらず、スイング理解を深め、クラブ選びやレッスンの精度を高める基準になる存在だ。
フィッティングという言葉に対して、「上級者向け」「調子が良いときに受けるもの」といったイメージを持つゴルファーは少なくない。中村プロもその点に触れている。
「少しハードルが高いイメージがあるかもしれませんが、臆せずにこういう場に来ていただいて、楽しみにしながら受けてもらえたら良いと思います。自分の新しいゴルフの一面が分かる、という楽しみを持って来てもらえると良いですね」
この言葉どおり、セットオプティマイザーの魅力は、上級者だけのための精密測定ではない。自分のことを知る面白さ、自分に合ったクラブを選ぶ安心感、そして新しい発見。その入り口として、多くのゴルファーに開かれたツールになりそうだ。
中村英美(なかむら・ひでみ)
PGAティーチングプロA級。法政大学ゴルフ部を経て、日本人女子として初めてフィリピンプロツアー(PGAP)ライセンスを取得。海外ツアー転戦後、ティーチングの道へ。2021年、日本プロゴルフ協会(PGA)において女性第1期生として「ティーチングプロA級」を取得。翌2022年には、独自の指導理論が評価され、「PGAティーチングプロアワード」にて女性初の最優秀賞を受賞した。現在は「感覚と動きのギャップを埋める」理論的なレッスンを展開。メディア出演やイベントを通じ、多方面でゴルフの普及に尽力している。