カーボンシャフトの経年劣化について
スチールアイアンは、ヘッドとの接着部分やシャフト自体の経年劣化が7〜8年と聞いたことがあります。カーボンシャフトの経年劣化ってどうなんですか?
スチールアイアンは、ヘッドとの接着部分やシャフト自体の経年劣化が7〜8年と聞いたことがあります。カーボンシャフトの経年劣化ってどうなんですか?
スチールシャフトの場合は、応力腐食割れによる寿命があります。引っ張り(または圧縮)応力と微細な腐食膜の分布により、マイクロクラックが顕著になり、最後は折れるということです。ゴルフクラブの場合は、ヘッドとシャフトの接合部に応力が集中しますが、一番はダフリ、次にシャンクやヒールヒットが最も応力による影響が大きいのです。従って、使用期間と使用頻度とともに、どういう打ち方をしているかで寿命が決まります。
ところがカーボンシャフトの場合は、応力集中はあるものの腐食はありません。シャフトに使われているカーボンファイバーは、アクリルニトリル系素材を過熱処理した高強度カーボンと、さらに黒鉛化処理(電気抵抗過熱)した高弾性カーボンの2種がありますが、一般的には高弾性カーボンのほうが強度的に劣ります。最近のカーボンシャフトでは、先端部に高弾性カーボンを使用するものがありますが、このタイプのシャフトのほうが同じカーボンシャフトの中でも応力集中の影響を受けやすく、強度疲労や断裂などの劣化が早いものの、スチールシャフトより長寿命です。
これまた難しいご質問です。
まず、スチールは直ぐに振動数が下がり劣化が早いと巷では噂されていますが、私が持っているスチールシャフト DGウェッジフレックスはもう8年以上経過しますが、現在の最新のものと全く振動数は同じでした。
一般的にはスチールの方が劣化は早いですが、カーボンは一律ではない。同様に見てはいけないと思います。
スチールが劣化するのはバット側切断部から錆が進行したり、シャフト内側の錆発生が考えられます。管理や設定時点で良いものはあまり劣化があるとは感じにくいほどです。ただし、メインのアイアンは金属疲労がありますので、ご指摘の期間程度で見られたらいいと思っています。
どこまでが使用できて劣化しているかという判断は難しいのではと思います。20年以上経過しているものも使えています。
それとカーボンですが、グラファイトの品質と製造方法によりだいぶ異なると思っております。
例えば、大手プロパーの純正シャフトの場合、研修生が半年ほど使用しますと10Yぐらい飛距離が落ちています。かなり練習します。
別のグラファイトで12年前ぐらいに出ていた高弾性80トンシャフトでは、今でも現役で使用していますが、性能が落ちているようには見えません。当時はドライバーでしたが、現在FWに入れて若い子が使用しています。
カーボン材料は1本数百円から何万円とありまして、その差は歴然とございます。ですから劣化というより性能が思ったように出ない、それなりと思います。
純正OEMと市販シャフトメーカー品で比較されたらわかりやすいです。後者がいいのは明らかです。価格が違いすぎます。
それから、リシャフトでは差が出ます。
これはスチールでも同じなんですが、応力が掛かる部分に同様に入れますと折れやすいです。
またヘッドのホーゼル内径で段差を付けているのは、その対策であると思います。高級ヘッドには、このタイプのホーゼルを結構採用しているのを見ます。
チップ側が補強されているカーボンシャフトは、耐熱や使用グラファイトの能力で大きな差が出ます。
一般的に高弾性ほど折れ易いのはハッキリしていまして、チップ側は更に別のグラファイトで補強しているのが属に高級品となります。耐熱温度も高くて折れにくくなっています。
高い品質の材料でしっかり造ってあるカーボンシャフトは、長持ちしますが、やはり低価格の材料で安く作ったものは性能もそれなりで、だんだん飛距離が落ちてきまして折れるのも早いです。
簡単なテストでは、Sシャフトをヘッドスピー55m/s以上の人に打ってもらいますと、早いのは20-30球でヘッドが飛んでいきます。ソケット部分から折れています。
(いいものはRフレックスでヘッドスピード60m/sの人がドラコンに使用しても折れません。)
また、ヒール打ちする女性ではヘッドスピード38m/s前後ですが、簡単にへし折ってくれます。後者は1本8万円クラスの高級な高弾性グラファイトでチップ側の補強がないもの、前者は大手プロパーの純正OEMシャフトでした。全部ではないので、一例として見て下さい。
区別するのは難しいのですが、高級・高品質のグラファイト材料を使用しているシャフトでしっかり作ってあるものを入れてみて欲しいです。飛距離は落ちません。球の伸びが見て取れるほどです。