名門ホウライが「1人乗りカート」100台を導入 タイパと安全性を両立するゴルフ経営の新基準とは?
2026年4月16日、栃木県の名門「ホウライカントリー倶楽部」にて、1人乗りカート「G-CART(ジー・カート)」の試乗発表会が開催された。
少子高齢化、キャディ不足、そして「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視するZ世代の台頭。ゴルフ業界が直面する構造的課題に対し、テクノロジーを駆使した一つの解が提示された。業界関係者の注目を集めた当日の模様をレポートする。
冒頭、ホウライ株式会社の小野直樹代表取締役社長は、導入の背景にある「名門コースゆえのジレンマ」を率直に語った。
ロバート・ボン・ヘギー設計の同コースは、景観維持のためにカート道路がフェアウェイから見えない設計となっている。これがセルフプレー化に伴い、「ボール位置が分からず歩行距離が伸びる」「プレーファストが困難になる」といった課題を露呈させていた。
「これからの時代、既存のプレイヤーだけに頼っていてはゴルフ場の未来はない」という小野社長の言葉通り、同社は2月より100台のG-CARTを導入。単なる利便性向上ではなく、「景観美と快適なセルフプレーの両立」という戦略的なアップデートを断行した。
開発元の株式会社BASEGEAR(ベースギア)盛山武紀代表取締役は、G-CARTが解決するゴルフ場の構造的課題として以下の4点を強調した。
①圧倒的な「タイパ」による若年層の取り込み 4人乗りカートの「待ち時間」を解消。自分のボールへ直行できる機動力により、ハーフプレー時間の劇的な短縮が可能。
②労働力不足への対応(脱キャディ依存) キャディ不足により稼働率が低下するリスクを、1人乗りカートによる快適なセルフプレー環境で補完する。
③芝への低負荷と安全性 45度の傾斜でも転倒しない低重心設計と、芝を傷めない軽量ボディを実現。
④猛暑・熱中症対策としての有効な解 酷暑下でのプレー環境改善は、現代のゴルフ場運営において避けて通れない課題。G-CARTはフェアウェイ乗り入れによる歩行距離の短縮と、走行中に受ける直接的な風により、熱中症リスクを低減する「有効な解の一つ」といえる。
業界関係者が最も注目したのは、株式会社テクノクラフトが提供する「ジオフェンス(仮想境界線)」機能だ。
同社の松葉健一執行役員は、GPS連動による物理的な制御について説明。グリーン周辺や危険な崖エリアなど、管理者が設定した進入禁止エリアにカートが入ると、システムが感知して「強制停止」または「自動減速」を行う。これにより、「乗り入れを許可したいが、コースが荒れるのが怖い」という運営側の最大の懸念を、デジタル技術で払拭した。
現場運営を指揮するホウライ株式会社の石黒智生執行役員からは、運用開始から約3ヶ月半で2,700ラウンド以上を無事故でこなしているという具体的な数字が示された。
「1度体験した利用者のリピート率は非常に高い。疲労感が全く違うという声に加え、前の組との距離がナビで可視化されるため、安全性も担保されている」と、現場視点での手応えを語った。
さらに、株式会社ビクトリアG&Fの山野井聡代表取締役からは、メッシュシートカバーやカラス被害を防ぐ収納カバーなど、1人乗りカート特有の「プレイヤーの不満」を先回りして解決するアクセサリー群が提案され、サービス面での充実もアピールされた。
実際にコースを走った試乗者からは、「他人のボールを探す時間がなくなり、自分のショットに集中できる」「これなら18ホール終わっても疲労が少なく、午後から別の予定を入れられる」といったポジティブな反応が相次いだ。
今回の発表会で示されたのは、1人乗りカートが単なる移動手段ではなく、「プレー時間の短縮」「コース管理の自動化」「顧客層の拡大」を同時に実現する経営ソリューションであるということだ。
ホウライカントリー倶楽部の先駆的な挑戦は、人口減少社会におけるゴルフ場運営の「次なる標準」を予感させるものとなった。
本件に関するお問い合わせ:
ホウライカントリー倶楽部
G-CART